Twitter:@cryptobiotech
■研究テーマがつまらないから変えたいんだけど。
■面白い研究テーマを見つけるために必要なことって何?
■研究テーマを考案するために知っておくべき情報って?
こんな悩みを解決できる記事を用意しました。
この記事で解説する『面白い研究テーマを見つけて取り組むために必要なこと』を試せば、あなたのやりたい研究ができるようになります。
なぜなら、僕も上記の内容を実践したおかげでやりたいテーマに取り組むことができ、かつ論文投稿までできたからです。
記事前半では『研究テーマの見つけ方&提案までの5ステップ』を、後半では『テーマ考案に役立つ書籍』を解説しますね。
この記事を読めば、あなたは面白い研究テーマを提案できるようになり、研究室でも一目置かれる存在になれますよ。
数分で読めますので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
研究テーマの見つけ方&提案までの5ステップ【変えたいけど思いつかない状態から卒業】
面白い研究テーマを見つけて取り組みたいと考える理系学生が取るべき行動は以下の通りです。
1つずつ解説していきますね。
研究テーマを変えたい理由の言語化
研究テーマを変えたいと嘆くあなたは、まず『なぜ自分が研究テーマを変えたいのか?』を言語化しましょう。
なぜならその理由をはっきりさせないことには、“次に打つべき戦略”の練りようがないからです。
例えば「テーマを変えたい」と考える理由には、パッと思いつくだけでも以下のようなものがあります。
- 先行性を奪われている(他のグループがすでにそのテーマをやっている)
- テーマへの興味消失(最初に考えていた時よりも面白くないと悟った)
- テーマの難易度が高い(どれだけやってもうまくいかず、嫌気がさした)
- 研究自体のやる気消失(もっと楽なテーマが良い)
- テーマの孤独感(ラボ内でその分野をやっているのが自分だけ)
実際に僕が先輩に悩みを相談してみたところ、第一声は「なんで変えたいの?」でした。
そこで理由が言語化できておらず「いや、あの…なんとなく嫌だからです」だと相談にのってもらえませんよね。
それゆえまずは他人に何かを相談する前に『理由の言語化』をおすすめします。
理由の言語化ができると頭の中のモヤモヤも解消されて、気持ちも楽になりますよ。
新しい研究テーマ提案に向けた情報蓄積
次に、新規テーマ提案に向けた『情報収集(論文の読み込みなど)』を行いましょう!
提案するために必要な要素は、大きく分けて3つ必要です。
- 自分が所属している研究室の強みを活かせること
- 提案する研究領域の“未解明課題”を把握していること(他研究室動向も把握すべし)
- 提案する研究テーマが“時代の流れ”に即していること
一番重要なのは「研究室の強み」を活かせることでして、ここが欠けるとほぼ間違いなくボスが渋ります。
今から新しく技術を開発して、かつそこから新規性のある成果に至るまで研究費も時間も大きくかかるからです。
ちなみに情報収集の仕方として、僕はいつも以下のような媒体から情報を得ています。
- 学術論文(Article, Review)
- サイエンスニュースサイト
- テクノロジートレンドサイト
情報を集めていくと「お、こんなことできそうだぞ」とか「まだここが明らかになっていないのか…」などアイデアがいくつか出てきます。
ここで個人的におすすめしたいのは『玉石混合のアイデア(≒テーマ案)を100個ためる』こと。
そしてそれらアイデアの中から「最も優れると思うアイデア」を1つだけピックアップすることです。
なぜ1つかと言うと、思いついた全てのアイデアを試すことは時間的にも予算的にも不可能で、いずれ“アイデアの絞り込み”が必須になるから。
そして「残りの99個のアイデアを捨ててでもやりたい!」と思えるアイデアじゃないと、誰かに否定されたらすぐ諦めてしまうからです。
それゆえ、この情報収集の段階で「これなら周りから否定されても“自分がやりたい”と思えるぞ」というレベルのアイデアをつくりましょう。
ちなみに「情報収集はどんなサイトを参考にすれば良い?」と疑問に思うあなたは、以下の記事を参考にしてくださいね。
合わせて僕が実践している「論文の読み方」も載せておきますので、論文をスラスラ読めるようになりたい方はご一読ください。
研究室内で“新しい研究テーマ”への理解者を増やす
「これならやりたい!」と思えるテーマ案を決めたら、次は研究室の先輩に相談しましょう。
大ざっぱなイメージですが、僕は以下のような相談をすると思います。
- 実は○○という理由で研究テーマを変えたい。
- いくつか情報を調べたところ、□□が面白そうだと思ってる。
- □□は元々こういうことがやられていて、ウチの研究室とも関連性がある。
- □□の最先端はここまできているけど、▼▼がまだできていない。
- でもウチの研究室の技術を使えば、▼▼を新しい視点から取り組めると思う。
- ▼▼は今の時代のトレンドだし、やる価値はあると考えてる。
前項で準備した情報を漏れなく伝えて、聞いた相手がどんな感想を抱くか聞きます。
何人かに聞くと「情報収集が不足している箇所」が可視化できるので、それらの情報も集めていきます。
そして集めた情報を後ほど質問者に伝えて、新テーマの必要性を理解してもらいます。
新しいテーマ提案には『組織内の理解者』が必須なので、ここで新テーマの理解者をできる限り増やしていきましょう。
理解者が増えるとミーティングなどで新テーマを提案した際、アシストしてくれる人が増えます。
「○○君は非常によく調べていますし、このテーマは私が聞いた限りでは面白い。ぜひ研究室内で取り組んでみては?」
こう言ってくれる方がいると、ボスから「まあ試しにやってみるだけならいいよ」と許可が出る確率も上がります。
良いテーマを考案しても、それを認めてくれる人がいなければ取り組むのは難しいので、周りを信頼してどんどん相談して味方を増やしましょう。
新しい研究テーマに必要な初期データ取得
研究室内での味方を増やし、新しいテーマの実現可能性が出てきたら、実際にそのテーマの妥当性を示すデータを取ります。
ここで意識すべきことは下記の3つ。
- いま動いている既存研究テーマの進行速度は保つ
- できる限り少ない実験数で妥当性確認できるよう綿密に計画を立てる
- 予想通りのデータが出ない場合、サッと諦めて次に進む覚悟を持っておく
いま動いている既存研究テーマの進行速度は保つ
現在、あなたに与えられている既存テーマの手を緩めるのはアウトです。
既存テーマは元々「あなたが成果を出すことを期待されているテーマ」なので、これを最優先に進めるのは大前提。
「既存テーマをおろそかにして新テーマに没頭する」という行為は、社会人だと上司の命令に従わない迷惑社員です…。
これは研究室でも同じで、「職務怠慢」とみなされるリスクがあるので気を付けるべし。
できる限り少ない実験数で妥当性確認できるよう綿密に計画を立てる
妥当性判断は『いかに少ない実験数で効率よくデータを取るか』が大事で、どんなデータを取得するかは綿密に計画しましょう。
例えばラボ内で保有している独自化合物の抗がん活性を評価したい!とテーマ提案したい場合、まずやるべき実験の1つは「本当にガン細胞に効くか?」でしょう。
例えば増殖を止めるのか、細胞死を起こすのか、老化を誘発するのか…などですね。
ここを抑えることができれば少なくともテーマの妥当性は正しいと言え、「ではそこからどう進めるか?」というステージに立てます。
しかし一方で「この独自化合物は“きっと効く”から、新テーマ用に類似構造をもつ化合物をあらかじめ合成しておこう」と先回りして行動する人もいます。
気持ちはわかりますが、独自化合物が抗がん活性を持っていなかった場合、作った化合物が無駄になります。
新規テーマを提案する際は、とにかく『少ない実験数で妥当性を証明するには?』を意識しましょう。
予想通りのデータが出ない場合、サッと諦めて次に進む覚悟を持っておく
どれだけ情報を調べてみても、試しにやってみても、予想通りのデータが出ないことも当然あります。
その場合「これだけやったんだからもう少しだけ検討したい…」と往々にしてなるのですが、出ない時にはサッと諦めることも大事。
『研究は基本的に失敗するもの』なので、結果が出ない時に諦めて次を考える覚悟を持っておいた方が良いですね。
ボスと「研究テーマを変えたい」と相談する
新規テーマの妥当性が判断できたら、実際に「どうやってテーマを進めるのか」をまとめてボスと相談します。
仮案で問題ないので、論文の流れを示しておくのがおすすめ。
例えば前項の「化合物の抗がん活性を調べるテーマ」を提案するとしたら、以下のように仮案を作ります。
- Fig.1:独自化合物Aががん細胞の増殖を阻害するか(データ取得済み)
- Fig.2:独自化合物Aが増殖を阻害するメカニズムBについての検討
- Fig.3:独自化合物Aが増殖を阻害するメカニズムCについての検討
- Fig.4:腫瘍移植マウスモデルによる独自化合物Aの腫瘍縮小効果
- Fig.5:独自化合物Aの類似化合物が同様の効果を発揮するか
ここまで用意して提案すると、基本的にボスから拒絶されないと思います。
僕は院生の頃、この流れで2回テーマ提案しましたが、どちらも許可が出ましたので。
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研究テーマの見つけ方【厳選書籍編】
面白い研究テーマを見つけたいと考えるあなたに役立つ書籍は以下の通りです。
自分が実際に読んできた中から、厳選して3つ選びました。
「研究室で(色々と)うまくやっていく方法」
「リサーチ力を高める方法」
「“研究の面白さ”を確実に相手に伝える文章力の磨き方」
が理解できるので、テーマ提案に合わせてぜひご一読くださいね。
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「研究テーマの見つけ方」は“調べる→周りを巻き込む→行動する”に要約できる
上記で紹介した『面白い研究テーマの見つけ方&提案方法』を実践してもらえれば、あなたのやりたいテーマに取り組めるようになります。
最後にもう一度だけ復習しましょう!
- 研究テーマを変えたい理由の言語化
- 新しい研究テーマ提案に向けた情報蓄積
- 研究室内で“新規研究テーマ”への理解者を増やす
- 新しい研究テーマに必要な初期データ取得
- ボスと「研究テーマを変えたい」と相談する
最初は当記事のやり方を実践するのは難しいかもしれませんが、何度も何度も実践して自分のものにしてくださいね。
自分のモノにしてしまえば、テーマ提案までに必要な時間が短縮され、どんどん面白いテーマが提案できるようになります。
当記事で紹介した書籍も絶対に役立ちますので、研究力を高めたい理系学生はぜひ手に取ってみてくださいね。
というわけで当記事は以上です。
なお『研究力を高めて企業の研究職(≒R&D職)に就きたい!』と考える人は、ぜひ以下の2記事にも目を通してくださいね!