■大企業の研究職に就くってどんな感じなの?
■大企業の研究職に就くメリット・デメリットは?
■大企業の研究職はぶっちゃけアリ?ナシ?
こんな疑問にお応えする記事を用意しました。
ここで解説する大企業研究職の『メリットデメリット』を把握してもらえれば、『研究開発職(R&D職)の就活』に役立つこと間違いなし。
なぜなら当記事では、企業研究職として3年以上従事する自分が『大企業研究職のリアル』を詳しく解説するからです!
実際に大企業の研究職として働く前に、そのイメージを湧かせることができるでしょう。
「大企業の研究職に憧れがあるけど、内情がどんな感じなのか情報が乏しい…。」
と一度でも思ったことがある方は、ぜひともご一読ください!
目次
大企業の研究職に就くメリット5選
早速ですが、僕が大企業で研究職として従事する中でひしひしと感じたメリットは以下の5点です。
順々に説明しますね。
基本的に研究開発費には困らない
入社してから驚きましたが、大企業は予想以上に『研究開発費が豊富』です。
基本的に「欲しい」と思ったものは買えてしまう…。
たとえば以下のような使用用途に研究費を投資しています。
- 最新の測定機器
➢同じのが何台もある - 最新の試薬・キット
➢生産性が上がるなら積極的に試す - 共同研究
➢全てを一社でやるつもりなし - 学会への協賛費
➢科学の発展に貢献
あと個人的に、自分が所属していた研究室と企業の違いはこんな感じです。(バイオ系の話で恐縮ですが)
- ピペットマンのチップを自分たちで1本ずつ補充しない
- 細胞の培地も自分たちで1から混ぜて作らない
- インキュベーターの掃除不要(勝手に庫内を高熱滅菌してくれる)
- 高額な試薬も比較的容易に買えてしまう(実験効率が上がる)
- bufferなどを自分で作らなくて良い(派遣さんが作製してくださる)
↑こんな感じですでに詰められているやつを買います。
話が逸れました。すみません。
上記のように大企業では「研究費が足りなくて困ったぞ…」ということは基本的にないです。
もちろん会社方針があるので何でもかんでも研究することは無理ですが、『会社にとって必要』と思われる検討ならば自由度高く取り組めます。
自分はそこまで研究費が使える研究室ではなかったため、金銭面で困らなくなったのは特筆すべき点だと考えます。
家に帰って何かをやる時間がある
大企業だと『ワークライフバランス』を意識した行動が求められるので、むしろ早く帰ることが推奨されます。
つまり、
家に帰ってシャワーを浴びて歯を磨いて倒れるように寝る。
↓
朝起きてすぐに研究室に向かう
という『研究室あるある』の状況から解放されます。
『家に帰ってから何をする時間がある』なんて研究室時代はほとんど意識したことがなかったので、その衝撃たるや。
もちろん企業も「激務」な時期はあり、その時は仕事漬けになることもしばしば。
しかし忙しくない時期は極端な話、16時とかに仕事を切り上げて帰ることも可能です。(毎日は無理ですが)
業務後にカフェに行って論文を読んだり、読書したりと『ゆとりのある生活』を送れます。
研究室だと「帰りたいけどコアタイムが21時なんだよな…」みたいなケースも珍しくないと思いますが、大企業だとそんなことはまずあり得ない。
『研究以外のことを考えるゆとりが持てるようになった』ので、大企業の研究職はGOODです。
周りの雰囲気が穏やかで、みんな優しい
大企業だと「ハラスメント」に関するルールが非常に充実しているので、理不尽な叱責を受けたり自分の境遇を中傷されたりすることはまずありません。
(それだけが理由ではないと思いますが)職場にいる方々は基本的に人間として優れている方ばかりです。
個人的な話で恐縮ですが、今の企業に入ってから一度も以下のようなことを言われたことがありません。
- そんなの自分の頭で考えろ!
- そんなこともわからないの?
- なんでそんなことを勝手にやったんだ!
- 才能無いから研究辞めたら?
さらに『質問があればすぐに聞ける環境』が整っていますし、何かを学びたい時には他部署の方に相談できたりします。
誰かに頼られて、そして自分も誰かを頼る。
こういった文化がしっかり根付いているのが大企業の研究職の良いところだと感じます。
給料(年収)が良い
これも入社してから驚きましたが、給料は大変良いです。
たとえば平均年収.jpによると平均30年度の年収全国平均は441万円ですが、大企業の研究職であればボーナスが満額出るようになる入社2年目でそれを超える人も多いはず。
さらに大企業は『福利厚生』が非常に充実しており、家賃補助など『見えない収入』があります。
たとえば大企業勤務の知り合いから聞いた話だと「家賃を会社が8割負担」なんてビックリな福利厚生があるようで。
仮に15万円の家族向け賃貸を借りていたら、年間144万円の家賃補助がある計算。
収入が安定すると精神的にも余裕が生まれるので、全力で研究に没頭することができますね。
かつ土日も副業や語学勉強のような新しい取り組みに自己投資することができます。
自分も研究室時代は収入面に大きな不安があって、その状態だと何をしてても「このままで良いのか…」とモヤモヤが残ってたんですよね…
そういう不安を無くしてくれるのも大企業で研究職に就くメリットの1つです。
若手に挑戦させてくれる環境が整っている
大企業の研究職は、様々な挑戦をさせてくれる環境が整っています。
たとえば以下のような素晴らしい経験を積ませてもらうことができます。
- 世界のトップラボに数年間留学
- MBA(経営学修士)留学
- 海外にある研究開発・生産拠点への短中期赴任
- 情報収集目的での国際学会出張
- 研究成果の外部発表(特許、学会、論文化)
ただし「全員がその恩恵を受けられるわけではない」ことはお伝えしておきます。
研究職で上記のような公募に応募する人は多く、『チャンスを掴みとれるかどうかは本人の実力次第』です。
多くのチャンスを掴める人もいれば、まったく掴めない人もいる。
社内での「競争」を深く実感させられる制度だなと考えます。
でも、だからこそワクワクしますよね。
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大企業の研究職に就くデメリット5選
前項では『大企業研究職のメリット』をお伝えしました。
一方で、「デメリット」と感じる点は以下の通りです。
1つずつ説明していきます。
優秀な人が多すぎ問題(努力するのは当たり前)
大企業にはどんな人がいるか?とネットで調べると、「使えないのに給料だけたくさんもらっている無能」などマイナスイメージが先行しているように感じます。
それがどの職種(営業、企画、経理、生産、開発、研究など)を指すかわからないですが、少なくとも『研究職は超優秀な方ばかり』です。
僕が学生だったころ、大企業の研究職に就職した超優秀な先輩が数年で辞めてしまって「なぜだろう?」って思ったことがありました。
でも自分も実際に大企業の研究職に従事するようになり、なんとなくその気持ちがわかりました。
周りが優秀すぎてついていけないと悟ったからだ、きっと。
大企業の研究職はたとえるなら、今まで趣味で野球をやってた普通の高校生が、いきなり超強豪校の野球部に強制入部させられるような感じがします。
超強豪校の野球部員ならそつなくこなしてしまう練習量も、その高校生にとっては地獄でしかない。
あまりにも周りが凄すぎて心を折られる可能性が大企業の研究職にはあります。
学生時代に研究室で抜群に成果を出した人がゾロゾロ集まってくるのが大企業の研究職。
「大企業はホワイトだから努力しなくてもお金がもらえる!」は妄想です。
努力必須。
「働き方改革」は研究職にとって辛すぎる
いま大企業はどこもかしこも「働き方改革」に取り組んでいます。
この「働き方改革」は言ってしまえば『より少ない労働時間で、より良い結果を出せ』です。
しかし聞こえはいいですが、以下のような課題に直面している企業も多いのではと考えます。
- 労働時間が減らされる
- 研究開発費も年々縮小傾向(それでもまだかなり恵まれているが)
- 基礎研究者の数も年々縮小傾向(買収のリスク、開発研究者が増える)
ちなみにこういった日本企業のリアルに関しては、少し前ですが2018年12月に出版された下記の雑誌が詳しいのでご参考まで。
学生も企業研究者も一度は読んだ方が良いと思う雑誌ですね。
働きたくても労働時間が削られて働けない、お金もない、人もいない。
でも成果は今まで以上に創出せよ。
これは成果を無限創出できる錬金術師でもない限り難しい条件です。
特に研究は「朝8時~17時までの作業時間で」計画的にイノベーションを創れるものではないと考えます。
あと会社にいる時間が少なくなっただけで、家で隠れてやる時間が結局増えるだけでは?などの疑問も。(闇残業の危険性)
「働きたくても働けない問題とどう付き合っていくか?」を常に考える必要に迫られるのがデメリットと考えます。
テーマがいきなり強制終了する場合あり
せっかく頑張って取り組んでいたテーマなのに、ある時テーマがいきなり終了することがあります。
それは企業の経営戦略と合わないと判断されたからで、企業で研究をしているとこういうケースも珍しくありません。
大学だと「なんとか論文化まで持っていこう」思考が働きますよね?
ですが企業では「もうやっても意味がない」と経営陣に判断されたら強制終了です。
大学の研究とはまた違うシビアさがあるのが企業での研究で、大企業の研究職でもその事実は変わらないですね。
世の中の謎を解き明かす研究 <<< 企業利益に繋がる研究
利益にならない研究は企業だとできません。
世の中の謎を解き明かす研究は個人的にもロマンを感じるので是非やりたいですが、
その謎を解き明かして何になるの?
その結果、どういったビジネスが創れるの?
で、いくらで売れるの?どうやって製品化するの?
それがビジネスになるのは何年後なの?多分○○年後じゃなくてはっきり言い切ってよ。
10年後にモノになる?そんなの待ってられないよ。
みたいな質問に打ち砕かれる確率が非常に高いので、企業でやるのは非常に困難です。
特に自社で経験のない研究領域を立ち上げようとするなら尚更。
いまは時代の流れもあり、ゴールが明らかでないと新規テーマも成立しにくい。
『ゴールが見えない未知の領域だからこそやるのが研究だろうが!』
のような意見は大賛成ですが、それはもう企業ではできにくくなってきています。
もしそういった研究がやりたい場合はやはりアカデミアでしょう。
なお企業で研究をするなら以下のようなビジネス系の書籍も読んで、ビジネスモデルを組める研究者になることが肝要と考えます。
研究以外の部分で気を遣うことが多い(人間関係とか)
これは企業でもアカデミアでもそんなに大差ないのかもしれませんが、大変だなあと思う点の1つです。
大企業は本当に色々な人がいます。
自分とまったく価値観が合わない人もいます。
でもそういった人達と一緒に研究して成果を創出するのもまた仕事です。
ぶっちゃけ『嫌いな人と組んでも最高のパフォーマンスを発揮できる人』は最強です。
「好き or 嫌い」で仕事を選ぶのではなく「重要 or 不要」という判断基準で業務をこなす力はとても重要だなと思います。
ちなみに、この人間関係については以下の書籍が役立つので参照されたし。
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大企業の研究職はつらいけど総合的に見たらメリットが絶対勝つ【オワコンではないと思う】
上記で紹介した『大企業のメリットデメリット』を理解してもらえれば、あなたが就活で企業を選択する際の参考になるでしょう。
最後にもう一度内容をまとめておきますね!
大企業研究職のメリット
大企業研究職のデメリット
もしかしたらデメリットを読むと「大企業の研究職って大丈夫…?」と思うかもしれません。
しかし総合的に見れば『大企業の研究職は絶対にメリットの方が勝つ』と思っています。
自分の意志一つで色々なことに挑戦できるのは間違いないですし、福利厚生に関しても恵まれています。
大企業のぬるま湯に浸かって堕落するのも自由。
大企業の環境を全力で活用してのし上がってやる!と奮起するのも自由です。
ただネットに転がっている「大企業はオワコン説」をただ鵜呑みにするのはやめた方が良いと思います。
ベンチャーであれ、中小企業であれ、大企業であれ、「1 or 0」で物事が決まるほど単純な世の中ではないので。
大企業の研究職に興味がある方は、ぜひとも挑戦してみてください!
それでは当記事は以上です。
ではではっ
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