理系院生だけど就職に失敗してしまった。
博士進学は全く意識していなかったのですが、就職浪人・就職留年という選択肢はありですか?
社会人から見たメリットデメリットを教えてください。
当記事では上記の疑問にお答えします。
本記事の内容
- 理系院生における就職浪人・就職留年のメリットデメリット
大学を修士課程で卒業後、企業で日々研究に取り組んでいるくりぷとバイオ(@cryptobiotech)と申します。
就活では製薬・食品など様々な業界から研究職・研究開発職の内定をいただくことができました。
この記事では「理系院生における就職浪人・就職留年のメリットデメリット」について解説します。
就活で失敗すると自分の将来がどうなってしまうのか…と不安になりますよね。
そして「博士進学はしたくないから就職浪人・就職留年しよう」と思いたくなる気持ちはよくわかります。
ただ「就職浪人・就職留年」は想像以上に厳しい戦いになるということを事前に自覚しておいた方が良いと考えます。
それを知っているのと知らないのでは、取り組み方に大きな差が生まれますからね。
当記事を読んでいただければ、就職浪人・就職留年のメリットデメリットがわかるのであなたのキャリア選択に役立ちます。
数分で読めますので、ぜひご一読ください!
目次
理系院生における就職留年・就職浪人のメリットデメリット
当記事では就職浪人・就職留年を以下のように定義して話を進めます。
- 就職浪人:大学院を卒業して就職活動を継続する
- 就職留年:大学院を卒業せずに就職活動を継続する
それぞれのケースに関してメリットデメリットを解説していきますね。
理系院生における就職浪人のメリットデメリット
理系院生が就職浪人するメリットデメリットは以下の通りです。
メリット
- 1年間の就職準備期間が生まれる
- 現役生が経験していない新しいことに挑戦できる
デメリット
- 理系院生の武器である「研究力」を磨く機会を失う
- 理系院生の同期が新たな道を進んでいる姿を見せつけられる
- 「研究室」というコミュニティを失う
順々に説明していきます。
メリット①:1年間の就職準備期間が生まれる
1年間の就職準備期間が生まれるのは非常に強力なメリットです。
「1回目の就活では何がダメだったのか?」「どうすれば良かったのか?」という経験を積んでいる分、効率的に準備することが可能。
ゼロから就活準備を始める次年度の就活生と比べると、ここはかなりの強みと言えます。
メリット②:現役生が経験していない新しいことに挑戦できる
1年間という期間は「何か新しいことに挑戦&それに慣れる」には十分すぎる時間。
例えば下記の記事で僕が「学生時代にもっとやっておけば良かったこと」をまとめておりますが、これらに挑戦することも可能。
学生時代にもっとやっておけば良かったこと
- 語学勉強
- 投資
- 副業(ブログ、YouTubeなど)
- 海外旅行
- 起業経験
現役の理系院生には経験できない(≒そこまでやっている時間がない)ことに挑戦するのは差別化に繋がります。
デメリット①:理系院生の武器である「研究力」を磨く機会を失う
就職浪人するということは大学院を卒業するということ。
文系学生と比べて明確な強みとなる「研究力」を磨く機会は失われます。
「研究力」は論文などを読む能力だけでなく、実験技術やプレゼン力なども求められます。
それを磨く最善の手段は「現場(=研究室)で時間を費やすこと」であり、残念ながら現場を退いた人は徐々に「研究力」を失っていくでしょう。
これは大学受験のために必死で覚えた数学や物理の知識を、時間と共に忘却していくのと同じ。
現場から遠ざかるという選択をした以上、「研究力」以外の要素でも強みを持たないと就職浪人は非常に厳しいと考えます。
デメリット②:理系院生の同期が新たな道を進んでいる姿を見せつけられる
これは実際に就職浪人している僕の知り合いから聞いたことですが「就職浪人は自分だけ孤立している感覚が凄い」とのこと。
実際に聞いた言葉とは異なると思いますが、卒業後に飲みで集まった時に以下のようなことを言われました。
お前たちは社会人1年目を謳歌していたり、博士進学という新たなスキル・資格を獲得するための努力している。
それなのに自分だけが就職活動のために1年間を費やしていて、自分だけ時が止まっているかのよう。
就職浪人する人には色々な性格の持ち主がいると思いますが、「周りと比較してしまう性格」だと相当しんどいんだなとその時感じました。
就職浪人の大変さは卒業した後にジワジワ来るので、それを乗り越える覚悟を卒業までに固めておかないと精神的に辛いと考えます。
デメリット③:「研究室」というコミュニティを失う
就職浪人すると「研究室」というコミュニティを失います。
もしあなたの通っている大学が地元と遠いのであれば、地元に戻る必要があるでしょう。
大学院生にとって「研究室」というコミュニティは非常に大きな存在であり、これを失うというのは中々大変です。
研究室に在籍していれば指導教官から“推薦”という切符を貰える可能性もあるし、何かと相談に乗ってくれる仲間もいますからね。
就職浪人は「1人で全てを乗り切る」という覚悟が必要です。
確かに社会人同期を頼ることも可能ですが、彼らは彼らでやることが多いため何度も頼ると「いい加減にしてくれ」と思われます。
「就職浪人は頼れる人が予想以上に少ない」という点がデメリットだと考えます。
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理系院生における就職留年のメリットデメリット
理系院生が就職浪人するメリットデメリットは以下の通りです。
メリット
- 「理系院生×新卒」という立場を守れる
- 理系院生に必要な「研究力」を磨き続けることができる
- 周りに頼れる理系院生の仲間がいてくれる
デメリット
- 就活をしながら研究を両立しなければならない
- 博士進学した同期と比較され続ける生活を送ることになる
- 一年分の学費を払うことになる
メリット①:「理系院生×新卒」という立場を守れる
「留年」という響きはあまり良くないかもしれませんが、「新卒」という立場を守れるのは非常にメリットだと考えます。
少なくとも国内企業の多くは「新卒至上主義」が根強く、既卒で採用される人材はキャリアを積んでいる人が多いから。
メリット②:理系院生に必要な「研究力」を磨き続けることができる
留年だと研究室に在籍することができるので、研究を続ける必要はありますが「研究力」を磨けるのは大きい。
やはり理系院生は「研究」で何を得たかを面接で絶対に聞かれますしね。
何なら就職留年中に研究成果をまとめてファースト論文を何本か投稿してしまうのも手。
そうすれば就職留年のマイナス面を打ち消すことができるのではと考えます。
理系院生にとって「研究力」は切っても切れない関係なので、1年間みっちり磨けることはメリットですね。
メリット③:周りに頼れる理系院生の仲間がいてくれる
就職留年だと研究室に在籍したままなので、周りに頼れる仲間がいます。
博士課程の先輩、同期、後輩、そして指導教官。
これだけ多様なコミュニティを維持できるのは就職活動においてメリット以外の何物でもありません。
就活は「団体戦」なので、仲間がいるのは就活において最大のメリットです。
デメリット①:就活をしながら研究を両立しなければならない
就職留年は研究室で「研究力」を磨ける一方、就活と研究の両立しなければならないデメリットがあります。
就職浪人は研究を一切する必要はないので、就職浪人の方と比べると就職に割ける時間は著しく少なくなるでしょう。
もし就職留年するなら平日は研究に没頭し、休日はほぼ全ての時間を就活に費やすくらいの心意気が必要だと考えます。
デメリット②:博士進学した同期と比較され続ける生活を送ることになる
これは就職留年した人にとっては避けられない宿命で、博士進学した同期と常に比較され続ける1年間になります。
指導教官側からも「コイツは一年で卒業するからなぁ」と思われるのは間違いないです。
それゆえあなたの業績に繋がる「国際学会」などの機会をもらえない可能性があります。
個人的には「1年しか研究しないからこそ」博士進学した同期よりも全力で研究に没頭すべきだと考えます。
就活の時間が減ってしまいますが、それくらいの作業をこなしてかつ就活もやるくらいの覚悟じゃないと就職留年は厳しいかと…。
デメリット③:一年分の学費を払うことになる
就職留年は金銭面でダメージが大きいです。
国立大学でも年間授業料として53万5,800円の出費です。(2019年現在)
私立大学ならもっと出費はかかり、100万円超えることも珍しくないでしょう。
仮に100万円あれば英会話とか海外旅行とか、かなり自己投資に割くことができます。
それだけの大金を支払うというデメリットは事前に自覚しておくべきだと考えます。
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「なんとなく」で就職浪人・就職留年を選ぶとメリットよりデメリットで苦しむ
というわけで就職浪人・就職留年のメリットデメリットに関して説明しました。
就職が失敗して将来を悩んでいるあなたにお伝えしたいのは、就職浪人・就職留年はかなりの苦労が待ち受けているということ。
「もう1年あれば内定もらえるでしょ」という楽観視だけはしないでください。
そう楽観視してしまう可能性があるなら、卒業まで全力で就活を継続すべきです。
今は就活失敗した学生をサポートするサービスがたくさんありますからね。
例えば、東証一部上場企業の欠員募集を教えてくれるJobSpringとか
秋採用で良い企業に内定を獲得した知人を何人も知っているので「本当に就職浪人・就職留年で良いのか?」は慎重に考えるべし。
現役で企業に入れるならそれにこしたことはありませんからね。
就職浪人・就職留年が絶対に悪いというわけではありませんが、その選択肢をとるなら相当な覚悟を決めて臨みましょう!
というわけで当記事は以上です。
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ではではっ
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