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「研究がつらい」と思う修士が絶対に博士進学してはいけない理由とは?【博士進学は“苦行”ではなく“挑戦”】

研究がつらい。でも指導教官から博士進学しろとせがまれるし、どうしたらいいんだろう。

研究職に興味がある場合、研究がつらいと思っていても博士進学した方が良いですか?

 

当記事では上記の疑問・悩みにお応えします。

当記事は理系大学生・大学院生に向けた記事です。

 

本記事の内容

  • 「研究がつらい」と思う修士が絶対に博士進学してはいけない理由5選
  • 研究に限らず修士は「つらいけどやりたいこと」を探すべき

修士課程で大学を卒業後、大手企業で研究しているくりぷとバイオ(@cryptobiotech)と申します。

幸いにも就活では製薬・食品など様々な企業から研究職・研究開発職の内定をいただくことができました。

 

当記事では「研究がつらいと感じている&博士進学する明確な理由もない修士」が、勢いで進学を決めると“詰む”理由をお話します。

結論をぶっちゃけますが、「研究がつらい」と思っているなら絶対に博士進学はやめるべき。

 

当記事ではその理由を解説しますね。

数分で読めますし、読んでいただければあなたの進路を考える上で役立つかと。

 

目次

「研究がつらい」と思う修士が絶対に博士進学してはいけない理由5選

修士課程の学生が「研究がつらいかどうか」を自分自身に訪ねているところ

「研究がつらい」と思う修士が絶対に博士進学してはいけない理由は以下の通りです。

 

  • 研究がつらいと思っている時点で博士課程は厳しいから
  • 同期が社会人生活を謳歌しているところを目の当たりにするのがつらいから
  • 博士課程に進学しても良い企業、良い大学ポストに就ける保証はないから
  • 修士卒研究職でもPh.D取得できる可能性があるから
  • 人生は研究が全てではないから【修士の間はそれがわからないこと多し】

 

1つずつ説明します。

 

研究がつらいと思っている時点で博士課程は厳しいから

博士課程の学生が一心不乱に勉強しているところ

正直なところ、「研究がつらい」と思っている修士が博士進学するのは厳しい。

なぜなら博士課程に進学する人は以下のようなポジティブな考えを持っている人が多いからです。

 

  • 研究が楽しい!
  • 研究で生きていきたい!
  • 研究で大発見をしたい!
  • 自分の研究で世の中を変えたい!

 

コロぽち
コロぽち
う~ん、でも「研究がつらい」と思ってても博士に行くやつはいるんじゃないのか?
バイオさん
バイオさん
「研究がつらい」と愚痴る人って、ボスや周りの人に“勧められて”進学を決めた人が多かったよ…。

 

確かに、多くの博士課程学生が存在する中で、全ての人がポジティブな理由で進学するなんてありえないでしょう。

中にはネガティブな理由で進学を決めた学生がいることを否定しません。

 

が、僕から見て「ああ、この人は傑物の類だな」と思った博士課程の先輩は、例外なく研究に対してネガティブではなかった。

「呼吸」と同じくらい当たりまえに研究をしていたし、研究をしている自分自身を疑っていなかった。

多大なる業績を残した先輩は、博士に進んだことに対して「誇り」を持っている方々ばかりでしたね。

 

その経験から、博士課程というステージは「自分がなぜ研究するのか意義を見出している人」が踏み入れる領域だと僕は感じています。

 

ゆえにその意義を見いだせずなんとなく研究して、「研究がつらい」と思っている修士は博士進学を絶対に止めた方がいい。

特に「成果が出ないからつらい」とか「長い時間ラボに拘束されるからつらい」とか、研究者として生きていく上で当然くぐり抜けないといけないことで悩む修士の方は尚更です。

 

企業に就職した方が色々な生き方を知ることができるので、絶対にそっちの選択肢の方がおすすめ。

 

 

同期が社会人生活を謳歌しているところを目の当たりにするのがつらいから

博士進学を悩む修士学生が社会人に対して抱くイメージ

「研究がつらい」と思いながら博士課程を過ごす一方で、修士で就職した同期が社会人生活を謳歌している….。

その姿をSNSなどで目の当たりにするのは、かなりの苦行です。

 

なぜなら、自分がつらいと思うことをやり続けているのに「博士進学から“逃げた”人」の方が人生を楽しんでいると見えてしまうから。

 

コロぽち
コロぽち
でもお前博士進学してねえじゃん。むしろ“逃げた”側のお前がなんでそんなこと言えるんだよ?
バイオさん
バイオさん
博士課程に進学した後に病んで休学した知り合いからそう言われたからさ…。

 

確かにコロぽちの言う通り、僕は博士進学した方から見ると“逃げた”側の人間です。

が、僕は博士課程進学から“逃げた”にも関わらず、いま企業で研究職に従事しています。

しかも大学研究とはまた違う「ものづくり研究」に携わることができている。

 

僕は当時けっこう厳しいラボに在籍していて、朝から深夜まで研究をして土日もないみたいな環境でした。

研究は好きだったのですが、正直めちゃくちゃ「研究がつらい」と思っていましたね。

 

バイオさん
バイオさん
「こんなに人生を研究に捧げなくても研究ってできるんじゃないの?」と思って修士で企業研究職の門を叩きました。
コロぽち
コロぽち
(お前、大学の頃は病んでたもんな…)

 

それゆえ「研究がつらい」と思っているのであれば、無理して博士課程に行くのではなく企業で新しいことに挑戦したほうが健全だと僕は考えます。

あなたも「博士課程に行った方が企業で長く研究ができるぞ!」と説得されているかもしれませんが、周りの意見で進学を決めると地獄を見ますよ。

 

 

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博士課程に進学しても良い企業、良い大学ポストに就ける保証はないから

博士課程に進学したけれど1人だけ内定が決まらないイメージ図

Ph.Dを取得しても、修士より良い就職先が見つかる保証はないです。

なぜなら博士は修士よりも就職の幅が狭まるし、博士を卒業するまでの3年間で世界は大きく動くから。

 

あなたも僕と同じ意見だと思いますが、一般的に博士は「スペシャリスト」です。

同分野の戦いであれば基本的に、修士はこのスペシャリストに敵いません。

が、博士は自分を「スペシャリスト」だと思い込んでいるがゆえに、研究以外の選択肢が見えていない人も多い。

就職する前に研究以外の選択肢が見えている博士は相当凄い…。

 

一方で修士はどちらかと言うと「ゼネラリスト」なので、本人が望みさえすれば研究職・開発職・生産職・技術営業職などにジョブチェンジ可能。

ジョブチェンジに抵抗がない人が多いのも修士の特徴だと思います。

それゆえ「国内企業のニーズを満たす人材」という観点から見ると、現状は修士卒の方が受け入れ皿は広いです。

 

コロぽち
コロぽち
まあ終身雇用制度が崩壊した今、修士採用神話がどうなるかは疑問だけどな。
バイオさん
バイオさん
これからは「修士の時点で博士を凌駕する」みたいなぶっ飛び修士にならないと厳しくなるかもね。

 

あとたとえ修士卒の頃は景気が良くても、博士卒の3年後にはバブル崩壊やリーマンショック並みの危機が起きていてもおかしくない。

「売り手市場の時は企業に飛び込んでおく」という戦略は、就活を勝ち抜く上でも非常に有効と言えます。

 

研究がつらい。でも研究職に興味ある。とりあえずPh.Dないと研究職は厳しいから博士進学しなきゃ。

そう思っている方は要注意。

 

就職のために博士に進学しようとすると、予想以上の困難さに心が折れますよ。

 

 

修士卒研究職でもPh.D取得できる可能性があるから

修士卒の学生がPh.D取得に向けて選択肢を選ぼうとしているところ

修士卒の研究職でもPh.Dを取得できるチャンスがあるので、「研究がつらい」と思っているなら無理して博士課程進学する必要なし。

それなら企業研究職の席を全力で獲りに行って、入社後に社会人ドクターを狙うのがベター。

 

バイオさん
バイオさん
僕はいま実際に社会人ドクターを獲るために、企業での成果を論文化しています!
コロぽち
コロぽち
特許が先になるから論文化は遅くなるけど、書こうと思えば企業でも論文書けるぞ。

 

あと最近は昔よりも「博士課程における社会人の受け入れ状況」も改善しています。

「博士人材の社会の多様な場での活躍促進に向けて」によると、社会人の博士課程受け入れ割合は時代とともに以下のような変化をしています。

 

社会人博士課程入学数・入学割合

  • 平成3年:480人・5.4%
  • 平成12年:2,496人・14.6%
  • 平成26年:5,810人・37.7%

 

 

平成26年では博士課程に入学した人のうち、なんと37.7%が社会人博士。

平成初期と比べて、明らかに社会人でPh.Dを獲れる可能性が高まっていると言えます。

 

コロぽち
コロぽち
しかも今だと社会人限定で「1年でPh.Dを取得できる」みたいな制度もあるぞ。
バイオさん
バイオさん
筑波大学の早期修了プログラムとかだね!1年で獲るには一定以上の業績が必要だけど…笑

 

もちろん修士卒として研究職に就くことができても、「全ての企業で社会人ドクターを狙える」と言う気はありません。

企業によっては論文を書かせてもらえない(?)ところもあるし、異動で研究職から遠ざかる可能性もあるでしょう。

 

が、「研究がつらい」と思い続けながら博士進学して精神を病んだり、Ph.D取得しても就職先がないというリスクを考えると、企業でPh.D取得に挑戦するのはありかと。

 

研究がつらいという環境から脱出して、企業でPh.D取得の可能性に賭けるか。

研究がつらい環境でなんとか頑張って、Ph.D取得&良い企業への就職切符をつかむ可能性に賭けるか。

 

企業は研究室より「働き方」はかなり健全なので、個人的には修士卒→社会人ドクターの流れをおすすめします。

 

人生は研究が全てではないから【修士の間はそれがわからないこと多し】

企業に入ると「研究をやらなくても生きていけるキャリアはたくさんある」と気づくことができます。

修士の間で得た「物事を科学的に捉らえる力」は開発でも生産でも活かせるし、技術営業としても活かせる。

 

修士の頃、僕はこのことが腹落ちできていませんでした。

開発や生産、技術営業という職があるというのは知っていましたが、自分には無縁だと思っていたためです。

 

それゆえ研究者の登竜門ともいえるPh.Dを取得せずに就職するかどうか、当時は死ぬほど悩んでいましたね。

当時は研究者以外の生き方を想像できなかったゆえに、修士で就職することが怖かった。

 

コロぽち
コロぽち
まあプロスポーツ選手もプレイヤーで得た経験を活かしてコーチやスポーツキャスターになったりするからな。
バイオさん
バイオさん
そう!企業に入ってからそれに気づくことができた。

 

研究がつらいと考えている人は「その環境で一定成果を出さないと将来生きていけない」みたいに思っているのではないでしょうか。

それはただの思い込みなので大丈夫です笑

 

世の中には「研究が嫌だから」という理由で最低限しか研究室に来ず、ボスの温情で卒業させてもらった後に企業で人生謳歌してる人とか普通にいます。

そして僕より年収は高い。世の中ってそういうもの。

 

研究だけが人生ではないですし、研究がつらいと思ったら博士課程進学は止めた方が良いです。

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研究に限らず修士は「つらいけどやりたいこと」を探すべき【やりたいだけでは続かない】

やりたいことを貫くためにつらいことを継続する修士課程の学生

「研究がつらいなら博士進学しない方がいい理由」を説明しました。

ただ一点注意してもらいたいのは、「つらい」と思ったこと全てから逃げろと言っているわけではないです。

 

あらゆる分野に共通しますが、一定レベル以上に到達するためには「つらい」と感じながらもやり続けないとダメ。

大事なことは「つらいけど、これはやりたい」とか「つらいけど、これは絶対に将来のためになる」といったことを見つけて取り組むこと。

 

「ただやりたいこと」だけを探していても、ちょっとやってみて飽きたらポイッみたいな感じで続きません。

 

僕にとって、研究は「つらいけどやりたいこと」でした。

修士の間に「つらいけどやりたいこと」を見つけられた人は、間違いなくその後伸びます。

世間には想像以上に「自分が何をしたいのかわからない人」が多くいます。

 

研究がつらいし、なぜ博士課程に進学するのか自分でもよくわからない。

でも指導教官に「とりあえず博士課程に進学しておけ」と言われる。

 

上記のような理由で博士課程に進学すると“詰む”ので要注意。

博士課程に進学するなら最低限、“研究”を「つらいけどやりたいこと」にしてから進みましょうね。

 

なお「働きながらPh.Dを取得したい!」という方は以下のような書籍も出ていますので、ぜひ読んでみてください。

企業で博士号を取得するってどういうこと?」ということがわかりますよ。

 

というわけで当記事は以上です。

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ではではっ

 

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研究を一生続けていくため、まずお金の不安を解消すべく副業を始めた20代科学者。 旧帝大を修士で卒業後、大手企業で基礎研究職に従事。 研究室時代はストレスで心身を病みながらも日夜実験に取り組み、運良く筆頭著者論文を複数投稿することに成功した苦労人&棚ぼたマン(自称)。 暗号資産の面白さ・可能性に惚れこみCoinMarketCapの銘柄を全部調べた経験あり。