<当記事でわかること>
■B4学生が「研究室に来ないやつ」になる原因
■研究室が学生から人気になる方法
■B4が研究室に来なくなるのを防ぐ方法
当記事は研究室からB4学生がいなくなることを嘆く先生方・院生の学生に向けた記事です。
執筆者のくりぷとバイオ(@cryptobiotech)は修士卒で大手企業に入社後、研究職として日々従事しております。
研究室時代は個人的にとても大変で、何回も“研究室を辞めたい”と思った経験があります。
また、大学時代の友人が研究室に来なくなってしまったこともあり、その時に「来なくなる原因や理由」を直接伺っています。
当記事を読んでいただけば「なぜ学生が研究室に来なくなるのか?」という疑問が解消されます。
- あの研究室のB4はいつも楽しそうなのに、なぜウチのB4はいつもこうなの?
- 毎年B4がどんどんやる気を失っていってけしからん!
- あんなに頑張ってB4を指導してやったのに、いなくなるなんて非常識だ!
この記事は数分で読めますので、上記のようなことを一度でも思ったことがある方は是非ご一読ください。
目次
B4が研究室に来なくなる原因には3つの要因がある
自分が多忙な研究室にいた&友人が研究室に行かなくなった理由を踏まえると、B4学生が来なくなる要因は3つあります。
1つずつ解説していきますね。
研究室が隠れブラック
研究室に入ってから「あれ、この研究室ブラックじゃないか?」と悟るとB4学生はやる気を一気に失います。
あなたが運営/在籍する研究室は「隠れブラック研究室」ではないですか?
でも実際に入ってみたら違っており、コアタイムはあくまで“ここまでいるのが最低ライン”というものでした。
“最低でも”ということは当然「もっとやらないといけない」ということです。
「こんなはずじゃなかった…」
その思考に至ったとき、僕は「こんな所で3年間もやれるのか…」とかなり悩みました。
その思考のせいで生産性は落ちたし、研究室そのものに対する信頼も落ちました。
ただ、研究室に元々お世話になっていた先輩がいた&指導教官は人間的に素晴らしい方だったのでなんとか踏みとどまりました。
もしそのどちらかが欠けていたら研究室を辞めていたと思います。
この例のように、隠れブラック研究室は学生のやる気を一撃でへし折るリスクがあります。
あなたが運営/在籍する研究室は隠れブラックゆえに、B4学生が来なくなっているかもしれませんよ。
研究に向いていないと自信を失った
学生が「自分は研究に向いていない」と悟ると研究意欲が大幅にダウンします。
これまで色々な学生とOB訪問を通じて話した時に言われるのが「自分はこの研究室にいなくてもいいのでは?」ということ。
なぜそんなことを言うのだろう?と色々聞くと、こんな答えが返ってきます。
- 修士2年の○○さんのテーマを引き継いだが、いつも▲▲さんにダメ出しされる
- 自分が身に付けた知識は研究室内の誰かがすでに仕入れている(そんなのとっくに知ってるよ、と言われる)
- 「そんなことも知らないのか!」と卑下される
上記の相談を受けた人は他研究室の学生さんだったのですが、残念ながらその後研究室を辞めてしまいました。
この時に感じたのは「指導教官や先輩が後輩に求めるレベルが厳しすぎるのでは」ということ。
B4の学生はあなたよりも知識や経験に乏しいのが当たり前。
それに対してマウントを取ってしまうとB4学生はやる気を失ってしまうでしょう。
研究以外にやりたいことができた
「研究以外にやりたいことができた」場合も研究室に来なくなります。
研究室に入った後に「文系就職でやりたいことができた!」という学生さんは少なからずいます。
そういった学生さんは、なんとかB4で卒業する道を模索する。
中には「研究なんて適当で良いや!」と思う学生さんもいます。
一方で「やれるところまで研究してから卒業したい!」と思っている学生さんも。
こう思っている学生に対して、
「文系就職なんて絶対に止めておけ!」
「そんな無駄なことやっている暇があるなら研究しろ!」
みたいに一方的な意見の押し付けをしてしまっていませんか?
相手のやりたいことを否定して自分の価値観に引き込もうとすると、相手はどんどん反発して離れていくばかり。
「研究が人生においてもっとも重要である」という思想になってしまっていませんか?
僕も研究者としてそうありたいと思っていますが、全ての理系学生がそうではありません。
「研究こそが至高!」という考え方で学生と接すると、学生はむしろ研究から離れたいと思うようになるでしょう。
特に今は大学生もブログなどの副業で収益を上げられる時代なので、そういった価値観を受け入れる懐の広さも重要と考えます。
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研究室でB4が来なくなるのを防ぐ方法
前項では「B4学生が研究室に来なくなる原因」について解説しました。
そこで本項では「B4学生の離脱を防ぐ方法」を説明しますね。
順々に解説していきます。
研究室が隠れブラックのままで本当に良いのか?を考える
個人的な考えで恐縮ですが、「ホワイト研究室 > ブラック研究室 > 隠れブラック研究室」です。
「忙しいことを研究室HPに載せると学生が来なくなるから、コアタイムの時間を変えてしまおう」
みたいな研究室は相当タチが悪いです。
どうせ激務な生活を送ることが確実なら、もう研究室HPにそう書いてしまった方が絶対に良い!
例えば「コアタイム:9時~21時」という感じで!
そっちの方が学生も覚悟が決まりますし、後腐れもない。
B4の努力を認めてあげる研究室風土づくりを目指す
B4学生の離脱を防ぐには「B4学生の頑張りを認めてあげること」が非常に重要。
例えばB4学生が仕入れてくる情報って、研究室に何年もいる人からみたら「すでに知っている情報」であることが多いです。
それに対して「そんな論文読んでどうする」とか「もっと論文読まないとお前は使い物にならない」とか、B4を不安にさせるような言動は控えましょう。
誰もが最初は初心者。
先輩や指導教官がそう思っていないと後輩たちは成長しません。
「怒られるのが嫌だから」といって指示待ち人間になってしまうかもしれません。
それか「頑張っても意味がない」とやる気が失う可能性すらある。
それは研究室としてもマイナスに働くはず。
怒って強制的に是正するよりも、B4としっかり向かい合って接した方が円滑に研究室が回るでしょう。
研究以外の道に進む学生を応援する
学生から人気になる研究室を目指すなら「研究以外の道に進む学生を応援すること」が重要だと考えます。
なぜなら理系人材が活躍できる場は“研究者”という職業だけではないから。
世間一般からみて、“研究者”という職業は相当レアな存在です。
しかも今のアカデミア業界を見ていると、とてもじゃないが将来が見えなさすぎて、研究一筋で生きていけるのか?と考える人も多いでしょう。
つまり研究室にいながらも「研究以外の仕事に就きたい…」と考えるB4が今後増えたとしても全然おかしくありません。
その学生の心理を理解しないまま、
「研究室に入ったからには最低3年だ!博士課程も考えろ!」
という「偏見に溢れた価値観」を振りかざすと、どんどん学生が離れていってしまう原因になります。
僕もB4~M2の頃は何度も研究室辞めたいと思っていましたし、「研究室の在り方」を考える時代になっているのかもしれません。
肌感覚ですが「研究を志す人」が年々減っている気がします…。
研究室にとって大事なことは「研究をさせること」ではなく、「研究を通じて世界に通用する人財を育てる」ことだと考えます。
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B4の価値観を応援する研究室であるべき【来ないやつはダメだと決めつけるのは簡単】
- 隠れブラックは最悪。研究をさせたいなら正直にその情報をHPなどに掲載せよ!
- B4の努力を常に否定するような雰囲気だとB4は徐々にやる気を失っていく。
- やりたいことを応援してあげられると研究室運営はうまくいく
時代と共に学生の価値観もどんどん変わっていきます。
昭和時代のスパルタ教育を是とする価値観はもう今の若者たちに無いと僕は考えて、日々後輩達と接していました。
今の学生たちが求めていることは何か?
どうやったらこの世代の学生たちに研究をしっかりやってもらえるか?
それらの疑問に対する答えが「強制力」でないことは、もはや明らかです!
強制力で管理されている研究室は、年々学生さんが減っていくと思っていた方が良いでしょう。
理系学生の多様な価値観を受け入れる研究室が増えることを切に願います…!
というわけで当記事は以上です。
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