■そもそも研究職って?
■研究職の仕事内容は?
■研究開発職・開発職・技術職・R&D職って何が違うの?
■研究職のメリット/デメリットは?
■研究職に向き/不向きってあるの?
■研究職に求められるスキルは?
こんな疑問にお応えする記事を用意しました。
ここで解説する『研究職に関する基礎情報』を把握してもらえれば、『研究職の就活』に役立ちます。
なぜなら当記事では、企業研究職として3年以上従事する自分が実体験をベースに詳しく解説するからです!
実際に研究職として働く前に、そのイメージを湧かせることができるでしょう。
「研究職って興味はあるけどイマイチよくわからないんだよな…」
「研究職に就きたいので基礎的な知識を身に付けておきたい」
と、あなたが一回でも感じたのなら是非ともご覧ください!
目次
研究職とは?どういう仕事内容があるの?
研究職とは、まだ世の中で明らかにされてない現象を解明したり、すでに見出された理論を横展開できるか検証したりなど、文字通り『研究』を仕事とする職種です。
「民間企業の研究活動に関する調査」から引用すると、この『研究』には3つの区分があります。
基礎研究
特別な応用、用途を直接に考慮することなく、仮説や理論を形成するため若しくは現象や観察可能な事実に関して新しい知識を得るために行われる理論的又は実験的研究
応用研究
基礎研究によって発見された知識等を利用して、特定の目標を定めて実用化の可能性を確かめる研究、および既に実用化されている方法に関して、新たな応用方法を探索する研究
開発研究
基礎研究、応用研究、および実際の経験から得た知識の利用であり、新しい材料、装置、製品、システム、工程等の導入または既存のこれらのものの改良をねらいとする研究開発
■基礎研究
ある原因不明な疾患に対して、治療に必要なターゲットを見つける
■応用研究
そのターゲットに作用する物質が本当に疾患を治療するかどうかを検証する
■開発研究
治療効果があると確認された物質の製造方法を確立する
また「基礎研究」「応用研究」「開発研究」をどう分類するかは、実のところ企業によって異なります。
分け方の例としては、以下のような感じですね。
- 「研究開発職」または「R&D職」と表記し、上記3つを含む。
- 「研究職」と表記し、上記3つを含む。
- 「技術職」と表記し、上記3つに加えて「生産・製造職」や「品質管理職」なども含む。
さらに言えば、入社時は「研究職」として入ったけど、社内編成が変わったため「研究開発職」に呼称が変わった…などもあります。
もしくは「研究職」と称しながらも「商品企画」にも携わっている人もいたりします。
それゆえ『研究職』の表記だけに惑わされず、就活では『どの職種をまとめて“研究職”としているのか?』を慎重に確認して企業を見るのが大事。
「研究職」で入社したのに、想像していなかった職種になってしまう可能性もありますので。
研究職の仕事(業務)内容
- 実験
- 情報収集(論文、特許など)
- 社内資料作成/ディスカッション
- 外部発表(論文・特許・学会など)
- 新規テーマ立案
- 派遣社員さんの予定管理
- 外部連携管理(共同研究・委託研究など)
- スキルアップ目的の研修
- 各種法令順守(安全衛生、試薬管理、固定資産管理など)
もっとあるような気がしますが…パッと思いつくのはこれくらいです。
なお研究職に興味がある人は「論文って書けるの?」と気になっているのでは?
企業だと以下のようなタイミングで論文を執筆することが可能です。
- 企業独自に良いもの(化合物、メカニズム)を発見した時
- 企業での製品化に繋がる成分の安全性を確認した時
- 自社製品の素材が別用途で使えることがわかった時
- 企業ーアカデミアの共同研究成果を論文にまとめる時
- 社内でプロジェクトが終了した案件を論文にまとめる時
詳しくは以下の記事が詳しいので、ぜひ参考にしてくださいね。
研究職(基礎研究・応用研究)で与えられるテーマの裁量は?テーマ数は?
『基礎研究』『応用研究』を主業務とする「研究職」の場合ですが、テーマの裁量は比較的高いと考えます。
なぜならたとえ上司がテーマを立案したとしても、最先端情報のキャッチアップや競合調査・実験など経験を積めば、現場(=担当社員)がもっとも詳しくなるからです。
なお与えられたテーマの研究領域でまず社内一の人財になること、そして会社方針に照らし合わせて日々の業務内容を提案・遂行することが求められます。
またテーマ数ですが、これも人によりますが『1~3テーマ』が一般的かなと。
- 基礎研究
- 応用研究
- 基礎研究×基礎研究
- 基礎研究×応用研究
- 基礎研究×基礎研究×応用研究
上記のように、テーマ内訳は多岐に渡ります。
あとトップダウンでテーマが下りてくる場合もありますし、色々な部署の若手が集まって分野を超えた融合テーマを提案(=ボトムアップ)することもあります。
「企業だとやりたい研究ができない」みたいな意見をよく耳にしますが、「意外とそうでもない」と個人的には感じています。
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研究職のメリット/デメリットは?
理系学生にとって「研究職」は専門性を発揮でき、かつオリジナリティの高い仕事にも取り組めるので魅力的な職種の1つですよね。
しかし研究職は採用人数がそこまで多くないため、ネットから手に入れられる情報も少ないのではないでしょうか。
「研究職」に就くメリット・デメリットって何があると思いますか?
実際に企業研究職に従事する自分が考える『研究職のメリット・デメリット』は以下の通りです。
研究職のメリット
- 基本的に研究開発費には困らない
- 家に帰って何かをやる時間がある
- 周りの雰囲気が穏やかで、みんな優しい
- 給料(年収)が良い
- 若手に挑戦させてくれる環境が整っている
研究職のデメリット
- 優秀な人が多すぎ問題(努力するのは当たり前)
- 「働き方改革」は研究職にとって辛すぎる
- テーマがいきなり強制終了する場合あり
- 世の中の謎を解き明かす研究 <<< 企業利益に繋がる研究
- 研究以外の部分で気を遣うことが多い(人間関係とか)
「なぜそう思うのか?」については、以下の記事に詳細を記載しております。
より詳しく知りたい方はぜひご一読くださいね!
研究職に就くにはどんなスキルが必要?
研究職に就くために日々研究に励んでいる理系学生は多いと思いますが、研究職の人財を採用するにあたり、企業が重要視しているスキルは何でしょうか?
「民間企業の研究活動に関する調査」によると、様々な業種を含む1,809社が回答した『人材能力のニーズ』は以下の通りです。
なお下記のパーセントは1,809社のうち「この能力は重視する」と回答した企業割合になります。
この結果を見ると、『問題解決能力』・『専門知識』・『提案力』・『柔軟性』は『日々の研究生活』から培える能力ですよね。
『マネジメント能力』・『ネットワーク構築力』・『語学力』も自己の意思次第で磨ける能力だと思います。
ただ『研究の実用化能力』は、相当意識して取り組まないと磨かれない能力かなと。
自分も院生時代は「この研究は○○に役立ちます」と意識してはいましたが、企業に入ってそれは「甘い試算だった」と痛感しました。
研究とビジネスの間には、想像以上に大きな壁があります。
大学で日々研究していると「ビジネス」の方まで頭が回らないのかもしれません。
が、どうやったら自身の研究を製品化できるのかは、少しずつ勉強していった方が良いですね。
その一環として、ビジネス本を読むのも良し、ブログやYoutubeを初めてE-commerceにトライするも良しです。
いずれにせよ「モノ・コトを売るにはどうしたら良いか?」を考えるクセを学生時代に身に付けた人は、絶対に企業からの評価が高くなりますよ。
なお自分が研究職として日々活動する上で、『学生時代にやっておいてよかった/やっておけばよかったこと』は以下の記事にまとめています。
『修士卒研究職として日々磨こうと意識していること』と合わせてご覧ください。
研究職に向き/不向きってあるの?
研究職を目指す際に『自分は本当に研究職に向いているのか?』って気になりますよね。
研究職の向き/不向きって?(性格編)
「研究に向いてない性格」を研究職メンバーで話し合ったことがありますが、
■研究への批判を“自身への批判”に置き換える
は満場一致で同意だった。
「その“研究”の進め方はおかしいのでは?」という指摘に対して「“あなた”はおかしい」と誤翻訳されてしまう人は成長機会を取りこぼしていると思う。
— くりぷとバイオ@研究職 (@cryptobiotech) August 12, 2019
色々な意見があるのは承知して言いますが、自分は『研究への批判を“自身の批判”に置き換える性格』かどうかが分かれ目だと思っています。
なぜなら「研究」とは基本的に「批判・非難」と隣り合わせだから。
「批判・非難」って、されると本当に辛いですよね。
胸はキュッと苦しくなるし、言われたことがグルグル頭のなかで渦巻くし、時には涙が込み上げてくることも…。
ただ「批判・非難」の中には『有用なアドバイス』がたくさん眠っているんですよ。
言われた瞬間はムッとなったとしても、後々振り返ってみると「確かに大事だ…」と目からウロコが落ちたりします。
もしこのアドバイスを「自分への攻撃だ!聞き入れないぞ!」と拒絶したら、成長機会の損失ですよね。
この『批判・非難を次につなげる意識(性格)』を持っているかどうかで、研究職として成長スピードに差が出てくると思います。
研究職の向き/不向きって?(チェックリスト編)
あと研究職に向いているかどうかを推し量る指標として、個人的に「素晴らしい!」と思った記事があったので参考にしてみてください。
著名な研究者、書籍、偉人のコメントをまとめてくれており、どういった人財が「研究」に向いているのかを客観視するのに役立ちます。
なお上記に加えて、「研究職」に向いているかを推し量る「大好きな言葉」があるので、それもお伝えしておきますね。
困難だからやるのだ。誰もやらないし、やれないから俺がやるのだ。そんな俺は阿呆かも知れないが、その阿呆がいなければ、世の中には新しいものは生まれないのだ。
トヨタ自動車創業者、豊田喜一郎氏
「向き/不向きなんてとかどうでもいいわ!研究職に、俺はなる!」という人こそ研究職を目指すべき
研究職の向き/不向きに関して色々解説しましたが、結局のところ『熱意』は大事。
前項の情報を見て「あ、自分って向いてないかも」と思う人もいるかもしれませんが、そこで「阿呆」になれるかが重要ですね。
自分も研究室に配属されたばかりの頃は、諸先輩方から「才能ないから研究やめたら?」と言われてきました。
でもそんな「才能がない自分」でも、今は研究職として世の中に貢献する研究に取り組めている(はず)。
それは自分が「そうありたい」「そうなりたい」と思って行動してきたからこそだと思っています。
周りからの批判・非難を真摯に受け止めて行動を変えつつ、でも「自分の軸」は維持したまま研究にトライできる人は、ぜひとも研究職に挑戦してくださいね。
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企業の研究職はやりがい十分!おすすめします
上記で紹介した『研究職の基礎情報』を理解してもらえれば、あなたが就活で企業を選択する際の参考になるでしょう。
企業研究職は「狭き門」ではありますが、目指す価値は大いにあるし、やりがいも大きいです。
当記事が「企業研究職のイメージ」として、あなたのお役に立てば幸いです。
それでは今回は以上です。
ではではっ
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