<当記事でわかること>
■研究職は企業生活でどんな時にストレスを感じるのか
当記事では、企業研究職のくりぷとバイオ(@cryptobiotech)が「研究職としてストレスを感じること」を解説します。
「院生の頃と比べて研究職ってどうですか?大変ですか?」
というご質問をいただくことがあるので、今回は“ストレス”という観点から考えてみました。
学生(修士卒業まで)の3年間、企業研究者として3年以上の僕がリアルな体験談をお伝えします。
当記事を読んでいただければ、企業研究職のイメージがよりしやすくなります。
どうぞ最後までご覧ください。
研究職は激務なのか?つらいと思っている人はいるのか?【正直、そんなに忙しいわけではない】
目次
研究職としてストレスを感じること5選
僕が研究職として日々過ごしながら、「これはストレスだな」と感じていることは以下の通りです。
順々に説明いたします。
部署電話による集中力の断絶(若手の宿命)
おそらく若手企業人が一度は直面すると思いますが、電話対応は中々大変です。
実験している時は出れませんが、自分が居室にいる時は基本的にほぼ全て対応します。
論文を読んだり、実験結果考察、翌日以降の計画立てなど集中している時に限って、なぜか電話が来るケース多し…。
もちろん院生の頃も研究室にかかってくる電話はありましたが、企業ほど多くはないですね。
院生の頃は同期もいましたし、自分が出る電話は1件/日あるかないか?でした。
一方で、研究職になった今は約10件/日の電話がきます。(完全に主観)
電話で集中力が一旦切れると、再び集中モードまで持っていくのに中々時間がかかります…
「どうしても今日は資料作成に集中したい!」という場合は、在宅勤務やテレワークなど考慮するのが良いですね。
研究成果の外部発表がすぐにできない(特許最優先)
研究職として「うーん…」と思うこととして「研究成果を外部発表するまで時間がかかる」が挙げられます。
企業の考え方や時勢などケースバイケースですが、基本的に成果が出てから外部発表まで1年半以上のズレがあります。
企業は有用な成果が出たらまず“特許”として出願できないか検討します。
特許には出願→出願公開→査定→登録という流れがありますが、この出願から出願公開までが重要。(詳しくは以下)
この期間(1年と6ヵ月)は「出願しているけど他社やアカデミアなど他組織にはわからない期間」です。
この期間中は“対外戦略”として外部発表できないことが多いんですよね。(真似防止など理由は様々)
院生の頃は特許を出願完了したら対外発表(学会、論文)してたので、そこが大きく違うのかなと。
1年半以上たつと自分の研究テーマが変わっている場合もあるので、いざ対外発表する時に「あれ…色々忘れてる」みたいなことも。
「テーマに対する意識が最大限向いてる時に外部発表させてほしい!」
「でも企業戦略的にそれは認められない…」
というのは“ストレス”なのかなと考えます。
研究室で企業との共同研究テーマをやるメリット・デメリットとは?
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もっと働きたいのに働けない(仕事させてください)
もっと働きたい、もっと色々な挑戦をさせてほしい、もっと実験したい。
個人的にいつもそう思っているのですが、「働き方改革」による制度改正に伴って働く時間は短くなっています。
これが僕の中で最も“ストレス”となっていることです。
確かに働く時間が短くなれば、家族との団らんや趣味の時間も増え、幸福度は増加するかもしれません。
実際に僕も家族と過ごす時間が最優先ですし、その気持ちはよくわかります。
ですが今の日本社会を見ていると、先行きが不安すぎないでしょうか。(特に若者に対して)
高齢者優遇の政策・少子高齢化による労働層の減少・研究力の衰退などなど…。
正直、良くないニュースばかりが目立ちます。
「あと5年後に会社が無くなったらどうしよう?」
「あと10年後に日本という国そのものが破産したらどうしよう?」
と、正直そう思わざるを得ません。
仮にそうなったときは「個人で生き抜ける力(能力・業績など)」が重要視されるので、僕はそれに備えたいんですよね。
「ワークライフバランスがとりやすい企業」も素晴らしいですが、若手のうちは「ワークワークワーク」で良いのでは。
研究職は激務なのか?つらいと思っている人はいるのか?【正直、そんなに忙しいわけではない】
何かの承認1つ取るのに時間がかかりすぎる(簡略化を…)
これは大企業あるあるなのですが、大企業はその組織運営上、承認プロセスが非常に多いです。
例えば何かの実験機材(顕微鏡とか)を買うときの承認は、以下のような過程を踏みます。
- 直属の管理職に承認をもらう
- 課長に承認をもらう
- 部長に承認をもらう
- 所長に承認をもらう
- ようやく購入手続き開始!
「この機材を購入しよう」と思ってから正式な購入手続きまで1か月かかったりすることも。
そして購入手続きでさらに時間がかかるので、思い立ってから2~3か月くらいかかったりも珍しくありません。
院生の頃は高額機器を自身で発注することはなかったので、この大変さを知りませんでした。
が、これは大変ですね…。
この承認プロセスの多さは、大手企業で勤務するなら受け入れなければならないストレスの1つでしょう。
異動辞令の解禁日前(他職種になるか否か)
企業では毎年定期的に「異動辞令」が発令されますが、その辞令が出る前はストレスを感じます。
なぜならフタを開けてみるまでわからない「職種チェンジ」の可能性があるから。
例えば研究職だった人が人事部異動になったり、開発職異動になったりすることがあります。
異動は本当にいきなり来る&本人の希望に沿わないものもあるので、内心ハラハラですね。
ちなみに余談ですが、企業だと定期的に「自分の将来のキャリア」について上司と話す機会があります。
研究職のままで行きたいのか、他の経験をしたいのかなど、その時に考えている将来キャリアを面談で話します。
ここで具体的な将来展望を述べ、かつそれが企業にとって利があると思われた場合は、希望通りの異動になるケースも。
大企業だと転職しなくてもジョブチェンジすることが比較的容易なので、「転職まではいかないけど新しいことしたい」という方は大企業がおすすめだと考えます。
研究職の異動って実際どうなの?本当にあるの?【大手企業の事例をお伝えする】
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研究職のストレスは研究室生活と比べると微々たるもの
というわけで、普段自分が研究職として従事する中で“ストレス”だと感じることを挙げてみました。
個人的には研究室生活の方が100,000,000倍くらいストレスたまってましたね…。
正直、心身ボロボロになってましたし、それに比べたら企業研究は少々余裕があります。
当記事が「ふ~ん、企業研究職ってそんな感じなんだ」と、少しでもあなたのお役に立てば嬉しいです。
それでは当記事は以上です。
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ではではっ