研究職に興味があるのですが激務かどうかが不安です。
実際に研究職に就いている人から話を聞きたいのですが。
当記事では上記のご要望にお応えいたします。
本記事の内容
- 研究職が激務ではないと思う理由3選
- 「裁量労働制」の場合は研究職でも激務になり得るので注意
- どう考えても企業研究より激務研究室の方がつらい
大学を修士課程で卒業後、企業で日々研究に取り組んでいるくりぷとバイオ(@cryptobiotech)と申します。
研究室時代は激務で心身ともに疲弊していましたが、企業では適度なストレス下で働くことができていると感じています。
当記事は「研究職は激務なのか?」ということに関して解説いたしますね。
いつもの如く結論を先にぶっちゃけますが、「研究職はNot激務」です。
もちろん時期によっては“忙しい”ことはありますが、これを“激務“と形容してもいいのか…?という感じです。
当記事には「他の記事にない具体例」などもあるかと思うので、是非参考にしていただければ幸いです。
数分で読めますので、是非ともどうぞ!
目次
研究職が激務ではないと思う理由3選
僕が「研究職は激務ではない」と思う理由は以下の通りです。
- 明確な締切が設けられているわけではないから
- 最先端機器や最先端試薬を使うことができるから(時短が可能)
- 派遣社員さんに仕事をお願いすることができるから
1つずつ説明していきますね。
明確な締切が設けられているわけではないから
研究職は、プロジェクトの締切が決まっていることが多い開発職や生産職とは異なり、
- 何が何でも○月□日までに新製品を出せ…
- 何が何でも○月□日までに、この成分を100t生産せよ…
みたいなことはありません。
「このテーマを年度末までやってみて、ここまで成果が出たら次年度も継続」
とか、
「この技術は必要とされてるから、成果が出なくても来年度いっぱいまでやるぞ」
みたいな感じで進むことが多いと感じます。
研究職で事業化や製品化に繋がる成果を出せない人は、仮に転職を狙ったとしても難しくなります。
開発職は「新製品○○のコンセプト提案→販売まで担当した」とか言いやすい。
生産職は「10tしか生産できなかったものを100tまで生産拡大した」とか言いやすい。
研究職も論文や特許という業績は残せますが、それらは製品の「売上」に貢献するまで時間がかかります。
「で、それはどれくらい凄いの?」と言われがちです。
企業では非常に著名なジャーナル誌に1st authorで論文投稿するよりも、1億円の売上に繋がる「製品化」の方が∞倍大事です。
繰り返しになりますが、研究職は明確な締め切りがない分、そこまで激務ではないと思います。
ただ、それに油断してサボっていたりすると、あっという間に市場価値が無くなるのでお気をつけて。
最先端機器や最先端試薬を使うことができるから(時短が可能)
企業研究職が激務ではないと思う理由は、研究室時代の頃には“高価で”使えなかった最先端機器・試薬を使うことができるからです。
例えば、企業では“10mg = 10万円”する化合物をわざわざ合成部門がつくったりすることはあまりないです。
試薬として普通に購入することもあれば、他社への外注でつくってもらうこともあります。
僕も研究室時代はせっせと自分で合成した化合物を細胞評価したり、昔ながらの試薬で時間をたくさんかけて研究していました。
それは研究室がそんなに研究費を持ってないというのもありますが、教育的視点も含んでいたからだと思います。
が、企業では「個人の成長」も重要ですが、やはり「製品に繋がる成果創出」の方が断然大事。
化合物をゼロから合成させることで研究者は合成スキルを磨くことができますが、企業はそこまで面倒を見てくれません。
「1人の研究者が半年かけないと合成できない、でも試薬で買えば50万円するけど2週間で手に入る」
上記のケースだったら、企業は絶対に50万円で化合物を買うでしょう。
こういった理由から、企業研究職は周りを頼ることで激務を回避することができると考えます。
派遣社員さんに仕事をお願いすることができるから
上記と似ていますが、研究職は派遣社員さんに仕事をお任せすることができます。
研究室によっては雑務を担ってくださるテクニシャンの方がいたりしますが、そんな感じです。
例えば実験で使うバッファーの準備とか、細胞の継代とかは基本的に派遣社員さんが担当してくれますね。
要するに「ルーティンワーク」は派遣社員さんにお任せします。
もちろんこちらの場合も、浮いた時間で別の仕事(新規テーマ考案・新規評価系立ち上げなど)が入ります。
ただ全部自分がやらないといけないわけではないので、うまくスケジュールを組めば激務になることはないと思いますね。
企業に入ってから「疲れた…」と思うことはあっても「激務すぎて死ぬ…。」と思ったことは一度も無いです。
開発や生産の同期と会うと「こいつ大丈夫か…痩せすぎだろ…」とか本気で思うことがあるので、研究職はやはり激務ではないですね。
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「裁量労働制」の場合は研究職でも激務になり得るので注意
前項で「研究職は激務ではない」ということを解説しました。
ただ個人的な経験で話すと、一点だけ「研究職を激務にたらしめる所業」が存在します。
それは「裁量労働制」です。
裁量労働制
裁量労働制(さいりょうろうどうせい)とは、労働者が雇用者と結ぶ労働形態のひとつである。
労働時間と成果・業績が必ずしも連動しない職種において適用され、あらかじめ労使間で定めた時間分を労働時間とみなして賃金を払う形態である。
労働者にとっては仕事の進め方を自分でコントロールしやすくなるというメリットがある。
引用元:wikipedia
上記では「労働者が自分で仕事をコントロールしやすくなるメリット」とか書かれていますね。
が、これは「コントロールできる量の仕事が“正しく”割り振られている条件」で初めて成り立つ言葉。
僕が所属する企業では(多分)聞かない事例ですが、実際に研究職の裁量労働制で働かされまくって病んだ事例を知っています。
前項でも説明しましたが、研究職は締切を設けられないくらい成果基準が“曖昧”であるケースがあります。
ゆえにどれだけ働いても評価されにくく、「あれだけ身を粉にして働いたのに評価が低い」ということも起こり得ます。
もちろん労働基準法を正しく守る企業なら、裁量労働制でもここまで悲惨なことにはなりません。
が、労働基準法を守らない企業が腐るほどあるなんて、もはや社会人でもない学生だってわかる厳然たる事実です。
ゆえに、そのような違法企業×裁量労働制がセットになった途端、研究職ですら激務になりえますのでご注意ください。
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どう考えても企業研究より激務研究室の方がつらい
というわけで「研究職は激務なのか?」というお話をしました。
企業によって研究職の忙しさは変動するため、あくまで僕個人の意見と考えていただければ幸いです。
が、1つだけ断言したいことがあります。
それは「研究室の方が絶対に企業研究職よりつらい」ということ。
これは割と本気で正しいと思ってます。
実際に僕は朝9時過ぎくらいに研究室に行き、そこから日付が変わるまで(早くても22~23時)まで研究室にいるのが普通でした。
しかも土日なし。あってもリアルに“月休”1~2日とかです。
1日8時間労働が普通だとしたら、お昼と夜の合計休憩2時間を引いても1日13時間くらい。
5時間/日残業してる計算ですね。
しかも土日はそのまま残業計算になるから1日13時間。
月に150~200時間残業していたんですよね…当時は。(しかも当然給料なし)
それを考慮すると、労働基準法で時間外労働が月40時間と定められ、かつ給料がもらえる企業研究職の方が絶対に楽です。
院生の頃は体を壊して病院に行ったこともあったので、週に休みが2日もあって、かつ給料も出る研究職は僕にとって天国ですね。
それゆえ、もしあなたが激務研究室で日々過ごしているのだとしたら、ご安心ください。
企業研究職の方が絶対に楽です。
当時僕も「研究職って激務なのかな…?」と思っていましたが、入社してみて考えを改めました笑
ですので、安心して企業研究職ライフをエンジョイしてくださいね。
というわけで当記事は以上です。
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ではではっ