就活ルールが廃止されて通年採用化するけど、理系学生・院生は今後どう動くべき?
特に研究職・研究開発職を志望する場合はどうすれば?
企業人としての意見があれば何でもいいから知りたい。
当記事では上記の疑問・ご要望にお答えします。
本記事の内容
- 就活ルール廃止(通年採用化)で企業はどう変わるか?
- 就活ルール廃止で理系就活生が今後意識すべきこと3つ
大手企業で研究しているくりぷとバイオ(@cryptobiotech)と申します。
就活では第一志望だった企業に加えて、運良く多分野(製薬、食品など)の企業から研究職の内定をいただきました。
2019年4月18日、経団連は新卒学生の就職活動について、通年採用を広げていくことで大学側と合意しました。
— 日本経済新聞 電子版 (@nikkei) April 18, 2019
上記ツイートでもあるように「新卒採用」と「年功序列」を崩壊させうる重要な一手になったと考えられます。
それに伴い、研究職・研究開発職の就活にもそれなりに影響が出ると予想しています。
あなたもどのように就活が変わっていくのか、今後どんなことをすれば良いのかなど気になっているのではないでしょうか?
そこで当記事では、通年採用が研究職・研究開発職の就活に及ぼす影響を予想しようかなと思います。
結論をぶっちゃけると「学部生の頃からビジネス経験積んで研究もしろ」ということでして、それをやれば不確実な世界でも勝ち抜けます。
あくまで個人の予測に基づいたものではありますが、そういう視点もあるのかと思って読んで頂ければ幸いです。
目次
就活ルール廃止(通年採用化)で企業はどう変わるか?
まず理系就活生が今度就活を勝ち抜く方法を語る前に、そもそも企業選考はどう変わるのかについて予想します。
ざっくりとした分け方で恐縮ですが、ベンチャー企業&中小企業・大手企業で分けて説明しますね。
ベンチャー企業&中小企業は通年採用化でこう変わる
就活通年採用で中小企業とベンチャーは以下のように変わっていくと予想します。
- 選考時期の早期化&(仮)内定者を増やす
- 長期インターンシップ(研究体験)の導入
順々に説明していきますね。
選考時期の早期化&(仮)内定者を増やす
ベンチャーや中小企業は、今よりも選考を早期化すると考えます。
なぜなら採用が通年化する今、いかに早く学生を招き入れて企業に興味を持ってもらうかが大事になるからです。
企業の魅力をアピールするためには、例えば企業の研究所に招いたり懇親会を開いたり、企業を好きになってもらうアプローチが大事。
それゆえ選考を早めて内定を先に出し、定期的にコンタクトを取り、「内定を断るのは申し訳ない…」という雰囲気作りに労力を割くものと推察します。
ただしどれだけ早く内定を出したとしても、内定辞退者をゼロにすることは厳しいものです。
なぜならどんなに選考を早めて内定を出したとしても、「もっと待遇が良い所に行きたい」というのが就活生の性だから。
それゆえベンチャー・中小企業は保険のため内定者数を増やすと考えます。
長期インターンシップ(研究体験)の導入
ベンチャーと中小企業は「研究体験」という名目で長期インターンシップを導入すると考えます。
学部3年だと学生実験という必修があり、学部4年だと研究室があるので、学部1~2年生対象で3か月とか、半年とか。
なぜなら学部1~2年生を企業の「実験業務アシスタント」として採用する企業が増えると考えているからです。
例えば企業の研究開発部門には一般的に、実験を担当してくださる派遣社員さんが在籍しております。
正社員が日々の実験プランを考えて、それを派遣社員さんにお願いして実験をしてもらうという流れですね。
しかし企業は派遣社員さんの雇用にかなりの人件費を割いています。
もしその人件費を削減することができれば企業としてはメリットが大きい。
学生:企業経験を積める、実験スキル・研究の基礎知識を磨ける、お金も稼げる
企業:人件費コストを削減できる、企業の雰囲気を知ってもらえる
具体的には「研究を実際に体験して、あなたの研究成果を企業で製品化しませんか?」的な誘い文句になるのかな…笑
通年採用化で長く学生を評価できるようになったからこそ、こういった形で仕事を経験させるベンチャーや中小企業が増えると思いますね。
大手企業は通年採用化でこう変わる
一方で、就活通年採用で大手企業は以下のように変わっていくと予想します。
- 選考スケジュールは今とそんなに変わらない
- 中途採用の増加
- 企業独自の選考が強まる(AI選考とか)
順々に説明していきますね。
選考スケジュールは今とそんなに変わらない
個人的な予想ですが、大手のような人気企業は選考スケジュールをそこまで変えることはないと考えます。
なぜならこういった企業は、選考を早めなくても就活生がたくさん志望してくるからです。
むしろベンチャーや中小企業が選考を早めてくれるなら、そこで内定をたくさん獲得した優秀な学生のみを選考することが可能。
歴史の授業で例えると、大手企業は織田信長・豊臣秀吉・徳川家康の中で「徳川家康」の立ち位置を獲ることができます。
織田がつき羽柴がこねし天下餅 座して喰らふは徳の川
上記の言葉は「織田と豊臣が天下統一のために耕した日本を、徳川がまとめてかっさらった」という意味です。
これを通年採用化した就活で考えると、以下のように置き換えることができます。
織田信長・豊臣秀吉:ベンチャー・中小企業
徳川家康:大手企業
大手企業はベンチャーや中小企業が見出したダイヤの原石を、そのまま選考で評価して内定を出せばいいだけ。
そう考えると大手企業は特に選考スケジュールをずらす必要がないと考えます。
中途採用の増加
大企業は今後「新卒採用」ではなく「中途採用」を増やすと考えます。
リクルート株式会社の2018年プレスリリースでは、過去3年と⽐較して中途採⽤の⼈数を増やす企業は4割を超える(43.8%)という調査結果もあります。
また、下記リンクのように「新卒採用」を辞める企業も出現しています。
この社会背景としては、もはや大手企業ですら5~10年後の存続が保証できなくなっていることが挙げられます。
これはメガバンクや大手家電メーカー、大手製薬企業などが、すでにリストラや早期希望退職募集を実施しているのを見るとわかるかと。
こういった情報を加味すると、もはや大手企業にすら「新入社員を育てるために採用する余裕」が無くなってきていると考えます。
「年齢が若い」というステータスだけでは、どこからも必要とされなくなる時代が来そうです。
企業独自の選考が強まる(AI選考とか)
大手企業は今後「AI採用」などの独自選考を実施していくと考えます。
なぜなら企業はこれから嫌でも時短・効率化・自動化を意識せねばならないから。
昨今の流行りを受け、今やどこも「時短・効率化・自動化」です。
企業としては採用をいかに短い時間で効率よく達成するかを考えなければならない時代になっています。
今までのように「エントリーしてくれたESは全部しっかり読む!」みたいなこともできなくなっていくかもしれません。
たとえば、最近ではエントリーシートをAIに判断させる企業もでてきていますね。
参考情報
こういったツールが出てくると、企業は以下のようなふるい分けを独自に設定する可能性があります。
- 大学偏差値が60以下の学生が書いたESはまずAIに評価してもらう
- TOEIC730点以下の学生が書いたESはまずAIに評価してもらう
- 当社が求める○○というスキルを持っていない学生のESはまずAIに評価してもらう
そんな理不尽なことが許されるか!
というあなたのお気持ちもよくわかります。
しかし通年採用化するということは「実力ある人間がより優位になる」とほぼ同義です。
終身雇用がすでに崩壊している今、平等な就活なんてありえません。
より時短で、効率よく、自動で優秀な学生を獲得する!
これを達成するのに有効な戦略の1つは「AIによる評価」だと考えます。
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就活ルール廃止で理系就活生が今後意識すべきこと3つ
というわけで就活ルール廃止(通年採用化)で企業はどのように変わっていくのかを解説しました。
仮にこの予想通りに変わっていくとしたら、理系就活生はどのように今後活動していけばよいでしょうか?
あくまで研究職・研究開発職への就活に視点を置いておりますが、個人的に意識した方が良いと思うことは以下の通りです。
- 学部生のうちに研究かビジネスの経験を積め!
- 学部生や修士課程で論文を書かせてくれる研究室を選ぼう
- 研究開発費が豊富なビッグラボを志望すべし
1つずつ解説していきますね。
学部生のうちに研究かビジネスの経験を積め!
学部生は企業インターンに参加して研究やビジネスの経験を積みましょう!
今後ベンチャーと中小企業は大学生に対して様々なインターンシップを提供するようになると前項で予想しました。
学部生はそのチャンスを全力で活かすべき。
特に最近は企業研究者といえど、ただ研究するだけでなく「ビジネススキル」が求められています。
- 実際にそれは誰に売るのか?
- いくらで売ればいいのか?
- どうやって作ればいいのか?
- 競合の製品と比べて本当に売れるようになるか?
実際に僕も「ただの研究テーマではなく、ビジネスになる研究テーマを考えてね」とよく上長にアドバイスされております。
研究職・研究開発職は確実に「研究+ビジネススキル」を求められる時代が来ていますので、今から磨いておくのが吉。
ちなみにあなたがもし学部1~2年次の場合、2019年マイナビ 大学生低学年のキャリア意識調査の情報は必見です。
上記情報(全1,164名対象、理系学生は594名)によると、5人に1人がすでにインターンシップデビュー済みのようですよ。
あと最近では学生で「起業」について学べる機会も増えてきました。
例えば【WILLFU STARTUP ACADEMY】のように大学生が起業を学べるビジネススクールも登場してきています。
こういったサービスは説明会&体験授業参加が無料で用意されていたりするので、試しに受けてみて本気で学ぶか決めることもやりやすい。
もちろん大学生は唯一無二の期間ですので、こういったのは抜きに遊びまくるのも一興です。
僕も大学生のころは「これでもか」というくらい遊んだので、その考えには完全同意。
しかし現実的に考えて、上記のような経験を積んだ人と比べると、どうしても劣るのは覚悟すべき。
理系学生とはいえ就活が通年採用化した今、学部の頃から勝負が始まっているという思考が大事と考えます。
学部生や修士課程で論文を書かせてくれる研究室を選ぼう
研究職・研究開発職志望の理系学生は、ぜひ「学部生や修士課程で論文を書かせてくれる研究室」を選ぶのが良いです。
なぜなら研究職・研究開発職の採用は、今後さらに研究業績で判断されるようになると考えるからです。
前項で述べたように、人気企業はこれから中途採用が増えると予想されます。
あとあり得るのは「有名研究室からの教授推薦採用」でしょうか。
その場合「研究室のネームバリュー」もしくは「研究職経験」を持った人たちとガチンコバトルになる可能性が高い。
あなたはそういった人達とどうやって対抗しますか?
研究に対する熱意でしょうか?
それとも自分の将来性でしょうか?
企業がもう「育てるための新卒」を採用する余裕が無くなってきているとすると、必要なのは「熱意や将来性」ではなく「研究業績」ではないかと。
学生における研究業績は「学会発表・特許・学術論文」になるので、それらを取得できそうな研究室を選ぶのが重要。
ある意味経団連が大学側に譲歩したようにも見えるが、一括採用では学業より就活に明け暮れる学生だらけになり、通年採用で卒論修論含めて学習内容を見られるようになれば「就職に有利な分野のラボに殺到する」学生だらけになるだろうし、大学が意図したようにはなりにくい印象 https://t.co/2gNjoEvz7Q
— TJO (@TJO_datasci) April 19, 2019
実際に僕も修士卒でありながら筆頭著者論文を複数書けたのは、恩師が認めてくれたからこそ。
ただ僕の知り合いは「博士課程じゃないと論文が書けない研究室」にいたため、1~2報に相当する研究成果を論文化できませんでした。
学部生や修士で学術論文を執筆することは、通年採用化した就活でも武器として成立します。
それゆえ、これから研究室配属を考えている方は、ぜひ行きたいと思っている研究室を訪問して論文執筆について聞いてみてください。
指導教官も「学生が最初の草稿を仕上げてくれる」のは教育の一環として重要と捉えていると思うので、しっかり話し合えば認めてくれるはずです。
研究開発費が豊富なビッグラボを志望すべし
身も蓋も無い話ですが、研究職・研究開発職を志望する学生はビッグラボを選んだ方が良いです。
理由は以下の通り。
- 世界的にもホットな研究分野を学べる
- 研究開発費や最先端機器が豊富
- 教授推薦がもらえる可能性あり
国から莫大な研究開発費をもらっている研究室は、当たり前ですが「将来が期待されている研究」をしています。
それは世界的に見ても注目されている領域のはずですし、企業から見ても注目分野だったりします。
そして研究開発費が豊富なラボは最先端機器も豊富にあります。
実験成果を出すために必要な最先端試薬(高価)も比較的に簡単に買えてしまいます。
すなわち効率よく実験成果を創出できる可能性が高まります。
成果を創出すれば当然「自分の業績」としてカウントされます。
優れた業績を出していればそのまま教授推薦をいただける可能性も高まります。
研究に没頭して就活でも良い所に行きたいということであれば、1つの選択肢としてビッグラボはオススメと言えます。
自分が在籍する大学にビッグラボがないという場合は、大学院から他大学への編入も手ですね。
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就活ルール廃止(通年採用)は理系学生にとってピンチではなくチャンス
というわけで通年採用化による変化と、学生に意識してほしいことは以上です。
長きにわたる終身雇用と新卒一括採用という縛りが無くなったことは、今後の日本にとっても非常に大きな一歩。
経団連も「終身雇用はもう難しい」ときっぱり言っています。
【経団連会長 終身雇用守れない】https://t.co/S1Sm0r9DJG
経団連の中西会長は、企業が今後「終身雇用」を続けていくのは難しいと述べ、雇用システムを変えていく方向性を示した。大学側と経団連が議論した結果を、来週公表する予定。
— Yahoo!ニュース (@YahooNewsTopics) April 19, 2019
これからは「自分で考えて動く時代」ですし、「先手を打ち続けることが重要な時代」でもあります。
同世代の人間には少なくとも絶対に負けん!
くらいのモチベーションで大学生活や研究室生活を送るのが良いのかなと。
就活ルールがガラッと変わった今、すなわち世の中が混乱している今は「ピンチではなくチャンス」です。
なぜなら就活において言えば「内定を獲るための定石」が崩壊したから。
良いES書いて、WEBテスト受けて、面接で「第一志望です」と嘘つくと内定が出るみたいな時代ではなくなります。
実力ある人が雇用される時代、まさに資本主義ですね。
皆があたふたしている今だからこそ、周りよりも先んじて行動できる人は「勝ち抜く人材」だと思います。
ぜひこれからの就活において必要となる実力を身に付けて、これからの社会を生き抜いていってくださいね!
というわけで当記事は以上です。
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ではではっ
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