こんにちは、くりぷとバイオ(@cryptobiotech)です。
本業として企業で研究をしながら、趣味としてブログや投資に勤しんでおります。
研究の楽しさって、失敗ばかりの日々から突然サヨナラ満塁ホームラン並みの成果が飛び出すことですよね
今までにそんなホームランが飛び出たのは1回きりですが、もしかしたら2回目が出るかも…。高揚感が凄い。
最初のホームランも、役満テンパった時くらい心臓がドキドキしたのを覚えてる笑
当記事では上記ツイートを深堀りしてみようと思います。
研究室時代は後輩から「なんでそんなに研究するんですか?何が楽しいんですか?意味あります?」とか言われていました。
後輩の意見はごもっともで、僕も研究室が厳しい所だったので最初は「なんだここ、早く逃げたい…」って思っていました。
が、そんな僕でも紆余曲折あって、研究室から離れてもなお企業で研究を続けています。
なぜ元々研究キライだった僕が、まだ研究を続けているのか?
何がそんなに楽しいのか?
これらを解説してみますね。
当記事を読んでもらえれば「研究ってこういう所に楽しさを感じるものなのか」と思って頂けるでしょう。
目次
研究の楽しさを感じる瞬間とは?
僕が研究に楽しさを感じる瞬間は以下の通りです。
- 研究でサヨナラ満塁ホームラン(=良い結果)が飛び出た時の楽しさ
- 「あ、これいけるかも」と研究アイデアが降ってきた時の楽しさ
- 国と時代を超えてコミュニケーションを取った(論文を読んだ)時の楽しさ
- 世界トップクラスの研究者と学会で話した時の楽しさ
- 自分の仮説に「それ面白い、やれ!」と言ってもらえた時の楽しさ
- 答えのない議論を自由気ままにしている時の楽しさ
- 自分の研究で世の中の「困った」が解決できる時の楽しさ
1つずつ解説しますね。
研究でサヨナラ満塁ホームラン(=良い結果)が飛び出た時の楽しさ
研究やってて楽しいと感じるのは、当然ですが良い結果が出た時!笑
しかもどちらかといえば、綿密に練られた実験ではなく、闇実験的なやつで結果が出るのが最高ですね。
僕は過去に1回だけ、闇実験でサヨナラ満塁ホームラン級の結果を出したことがあるのですが、その時のソワソワ感たるや。
その時のプロセスはこんな感じ。
もう数カ月くらい良い結果が出ていない…無理だろこれ。
↓
もうやれることは無いんじゃないか?検討はとことんやった…
↓
最後に1回だけありえない条件でやってみるか〜笑
↓
あ〜やっぱりダメか…。あれ、なんかいつもと違うぞ。
↓
え、ちょっと待ってこれ、何か出てるんと違う?
↓
ざわ…ざわ…
↓
これは良い結果が出たんじゃないのか(ちょっと興奮気味)
↓
もう1回同じ条件でやってみましょう(興奮気味)
↓
やっぱり同じ結果だ。ま、まさか本当に良い結果が…?
↓
もう一度だけやってみましょうッッッ(興奮)
↓
もう一度同じ結果きたああああああああ!!!
絶対に論文になるやつだろこれぇぇぇえぇ!!!
↓
種々の検討を加えて、無事に論文化
↓
嬉しすぎて飲み会ワッショイ
というわけで、僕はこの時の経験が衝撃的すぎて未だに研究者をやってます笑
セレンディピティという言葉がありますが、僕の場合はまさにそれでした。
セレンディピティ(serendipity)
素敵な偶然に出会ったり、予想外のものを発見すること。
何かを探しているときに、探しているものとは別の価値があるものを偶然見つけること。
平たく言うと、ふとした偶然をきっかけに、幸運をつかみ取ること。
引用元:wikipedia
予想外の結果を出して、しかもそれが世界で初めての発見!
こんな経験は人生でそうそう味わえるものでも無く、研究って楽しいなと思いました。
自分が思ってもみない予想外な結果になるからこそ、研究は面白い。
「あ、これいけるかも」と研究アイデアが降ってきた時の楽しさ
研究が楽しいなと感じる瞬間として、アイデアが空から降ってきた時も外せません。
他の研究者の皆さんがどうかはわかりませんが、僕は狙ってアイデアを出せないんですよね…
どうやったら面白いテーマになるかなーと悩んでも全然アイデアが出ない。
どんなに論文を読んでも、特許を読んでも、一向に出ない。
もちろん悩んでいる時にアイデアはいくつか出るのですが「このアイデアは〇〇がダメ」と欠点が見えちゃうやつしか出ない。
でも不思議なことに、な〜んにも考えてない時に閃いたりするんですよね。
自分の意思で「脳を休めよう」と思った時には閃かず、いつの間か研究から意識が逸れていた、みたいな時にこそ閃く。
閃いた時の「いける…これはいけるぞぉ!!!」って感覚はたまりませんね。
早く誰かに話したい…!いやいやまずは簡単に資料を作るべきか!?
そんなワクワク感で動いている時は幸せそのもの。
アイデアを閃く、というのは研究において最たる醍醐味の1つと考えます。
国と時代を超えてコミュニケーションを取った(論文を読んだ)時の楽しさ
研究の楽しさを象徴する瞬間は、やはり論文を読んだ時ですかね。
なぜなら論文って、国を超えて、時代を超えて存在している代物だから。
僕が自分の研究に役立つ論文を探していて「お、これ良いやん」と思うのを見つけたとします。
ふと論文発行日を見ると「1980年」とか書いてあるんですよ。
僕が生まれる前の論文を、僕がたまたま見つけて、しかもそれが自分の研究の役に立つ。
もう40年近く前の論文が国を超えて、時を超えて、日本という小さな島国にいる僕の役に立っている。
何気ないことですが「研究ってすごいな…」と感じます。
さらにロマンだなと思うのは、調べた時には筆者が残念ながら亡くなっていたこと。(40年も前ですので…)
僕は筆者と会ったこともないし、話したこともないし、顔も知りません。
でも僕の研究はその亡き筆者の成果で前に進むんですよね。
これを学生の時、一人で論文読んでる時にふと悟った時は感動しました。
自分の死後にも世界の役に立てるなんて、世の中そうそうないですよね。
研究の楽しさの1つは、国と時を超え、自分が死してなお社会に貢献できることだと思います。
世界トップクラスの研究者と学会で話した時の楽しさ
研究が楽しいなって思うのは、世界最強クラスの研究者と普通にディスカッションできることです。
これがどれほど凄いのか形容するのが難しいですが、プロ野球のイチロー選手と2人でキャッチボールして「野球とはどうあるべきか?」を延々と話す的な笑
例えば僕の知り合いには、ノーベル賞を受賞された再生医療研究者の山中先生とお話したことがある人がいます。
他には「GFP」という蛍光タンパク質の発見でノーベル賞を受賞された下村先生と話したことがある人も。
要は「前人未到の偉業を達成した人と、割と簡単に会話できる」わけです。
研究は勇気さえ出せば、世界最強クラスとも対等な議論ができるので最高に楽しい業界ですね。
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自分の仮説に「それ面白い、やれ!」と言ってもらえた時の楽しさ
自分の仮説にGOサインを出してもらった瞬間は、研究って楽しいなーと思います。
研究って実験だけするのが全てではなくて、テーマ創出・テーマ遂行など色々やることがあります。
その中でもやはりテーマ創出はハードルが高い!
たくさん論文読んで競合との差を見極め、その中で自分たちができることは何か?
その「何か」は世の中にインパクトをどれくらい与えるのか?
それを練るにはそれなりの時間を必要とします。
だからこそGOサインが出た時は認められた嬉しさもありますが、この仮説が合ってれば世界初!というワクワク感がすごい。
どんな結果が出るかなーと想像している時は、研究って楽しいと心から感じますね。
答えのない議論を自由気ままにしている時の楽しさ
研究室時代によくやっていた「それ意味あるかわからないけど超楽しい議論」は最高です。
もうちょっと簡単にご説明すると、ある研究テーマについて皆で夜な夜な話し合うイベントです。
皆であーだこーだ話して、お前の仮説に根拠あるのかよぉ!?って論文調べて、ほら論文あるやん!ってなって、じゃあ〇〇やろうぜ、今から!と実験を仕込む。
今の企業研究者という立場では100%不可能な行為ですが、あの妙な一体感は、振り返ると超楽しかったなと。
当たり前のことですが、研究は一人ではできません。
自分で脳汁吹き出すまで考えても、どうしても研究が滞ることはあります。
そんな時、効率性を無視してとにかく研究メンバーと話しまくる。
時間を決めずに話しまくって、終電逃して、研究室で寝るみたいなこともありました。
でもそういうアホみたいな話し合いをしていると、思いもしない活路が開くことも多々ありました。
知的欲求を満たすこの議論、企業研究ではほぼ無くなってしまって残念ですが、これも研究の醍醐味・楽しさの1つと考えます。
自分の研究で世の中の「困った」が解決できる時の楽しさ
最後になりますが、やはり研究者やってて1番楽しいのは「世の中の役に立てる」だと考えます。
- 自分の研究で今まで救えない人たちをたくさん救える
- 自分の研究でこれまでに実現不可能だったことが実現する
- 人々を豊かにする発見を自分の手でできる
- 目の前の人だけでなく、会ったこともない人にも届く技術を生み出せる
これは多分研究者じゃないと不可能なことです。
自分で言うのもなんですが、研究者ってすごい存在だと思っています。
不可能を可能にするのが我々の仕事ですから。
僕の座右の銘でもありますが、いま研究をしている人たちには、是非この言葉を知っていてほしいですね。
Anything one man can imagine, other men can make real.
人が想像できることは、いつか必ず人が実現できる。
フランスの作家 ジュール・ヴェルヌの言葉より
そして研究者でない一般人の皆さんにも、「我々研究者はこんな想いを持って研究してます」ということをご理解いただければ。
自分の研究が人々の役に立てば、これほど冥利につきることはない。
自分の仕事に誇りを持てるという点でも、やはり研究は楽しいです。
僕は企業研究者なので異動で職種が変わってしまう可能性はどうしてもあります。
が、職種が変わっても何らかの形で科学と接していたいですね。
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研究の進め方がわからない?だからどうしたもっと研究を楽しめ!!!!
というわけで研究が楽しいと思う瞬間について語ってみました。
どれくらいあなたに共感いただけたでしょうか?
後輩と研究の相談をするとよく「研究の進め方がわからないんです…辛いです…」と言ったりします。
悩む気持ちもすごくわかりますし、僕も毎日悩みながら研究してます。
まあでも、そんなに心配しなくても大丈夫。
不安を感じるのはむしろ正常で、その中でも研究を楽しんだもの勝ちかなと、僕は思います。
「そんな余裕あるかよ」という意見も大いに正論ですが、まあそれを嘆いても何かが変わるわけでもなく。
愚痴っても、笑っても、平等に24時間は過ぎていくので、環境関係なく楽しんだ人の方が結局幸せになる気がします。
僕の価値観だらけの記事で恐縮ですが、ひとまず当記事はこの辺で。
研究を好きになってくれる人がこの国に1人でも増えてくれれば、研究者冥利に尽きることはありません。
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ではではっ